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102 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/10/20(火) 04 17 25 ID ??? 「困」とはちょっと違うけど、話題無いみたいなんで投下してみる。 以前リプスレにも書いた話しだけど、一応こちらにも。 15年前、コンベに個人参加してた時の話。 そこでは未体験者歓迎卓で自分が知らないシステムばかり遊んでたんだが、その時も自分以外は知らない面子だった。 セッション序盤にGMとPL陣がファンタジー作品とかの雑談で盛り上がったんだが、 そのうち特定作品(スレイヤーズです)をクソミソに評価する流れに。 「ドラゴンを呪文一撃とかリアルじゃないよね」等々。 で、スレイヤーズの大ファンな俺はスゲー困りましたw 思わず『ファンタジーでリアルって何さっ!?』と突っ込むか、 厨全開で『いや、あの作品の世界観はですね(ry』と反論・解説しそうになったが、 俺一人が我慢すればいいかと思い、その場は適当に相槌して、 話しを振られても「ええ、そうかもしれませんねー(超笑顔)」でかわすことにした。 セッションは成功してゲーム自体は楽しめたんだが、 『コンベなんかでの不特定多数がいる場では、特定作品のネガティブネタや話題は極力避けよう!』 と心に堅く誓った、いやホントに。 ここまではリプスレで書いた内容なんだが、 その雑談が終わるまでの体感時間は長く苦痛だったのも事実。 自分が耐え切れずムギャオる可能性もあったから、 ・「その話題は打ち切ってくれよ~」オーラを発散する ・卓の皆にその旨ぶっちゃける ・他の話題に誘導するか、セッション進行を促す とかした方が良かったのかと自問自答。 空気悪くするリスクもあるけどね……。 ちなみにそのコンベは以後も参加してたけど、嫌な思いに遭遇したのはこの時だけ。 111 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/10/20(火) 06 23 33 ID ??? 102 唐突に俺スレイヤーズ好きなんですよとか言い出せば良かったんじゃないかな。それも満面の笑顔で。 普通の連中だったら取ってつけたようにスレイヤーズをフォローするか、そうでなくてもその話題やめるだろ。 それでも叩き続けるならもう諦めるしかないが、好きな作品に突っ込まれたからって気分を害するというのもちと大人気ないな。 アンチはこれだから~とか笑って流せるくらいの余裕が欲しい。 112 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/10/20(火) 06 24 47 ID ??? 106 >スレイヤーズの何が好きなのか? TRPGのプレイイング考察には直接関係ない命題だねぇ。 一応答るなら「自分は面白いと感じた」から。 ちなみにアニメ化前の話しなんで声優は関係無し。 102の『スレイヤーズ』という記号は、人それぞれの好きなモノと置き換えて貰えれば。 例えば 106氏の好きなものなら何でも。 117 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/10/20(火) 07 38 15 ID ??? スレイヤーズ以前に、宮崎駿の「セーラー服が機関銃持って走り回っているようなアニメを~」って批判が あったくらいだからな 別に珍しいってわけでもなかった 今ほどラノベ自体が量産されてなかっただけで 125 名前:NPCさん[] 投稿日:2009/10/20(火) 08 50 36 ID NZNz6nY4 102 無難な対応は「・他の話題に誘導するか、セッション進行を促す 」なのかな。 上は気がつくとは限らないし。 あと、呪文一発でドラゴンが沈んで何が悪いってD Dユーザーが言ってました(最近のは沈まないけどね)。 127 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/10/20(火) 09 04 15 ID ??? 125 スレイヤーズって、要するにドラゴンを一撃で倒せる超高レベルキャラが主人公で、 主な敵は超高レベルキャラよりも更に圧倒的に強い、魔王級の存在とその配下って話だからな。 後、人間同士だと魔法の使い方を始めとする戦い方の上手い奴が単純にレベルが 高い奴よりも強いって扱いだし。 ……確か、一時期この作品みたいに色々と魔法等の能力を応用して使うのをTRPGの製作サイドの人間が 推奨した頃もあったが、実際にそういうのをゲームに持ち込むと処理が色々面倒になったりしたで、 「こういう能力なら〇〇な事ができそう」って感覚で能力を応用する事は非推奨って方向に業界がシフトしたと 聞いた事があるなあ。 132 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/10/20(火) 09 12 58 ID ??? 127 業界じゃなくてF社の一部じゃないか? スレ242
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Pixivファンタジア ■概要 イラストSNS「Pixiv」で年1度行われるarohaJ氏主催のファンタジーイラスト投稿企画。 毎回大まかな世界設定などは投稿されるが基本は「てきとうでいいのよ」 人物、ギルド、風景、アイテム、生物など多岐にわたるファンタジー世界観を構築する。 ■PC(作成順) ワディ・サラーム ケツァル・サラーム/シン・ナンナ・スーク 源 雷覇 業平/龍騎(りゅうき) 源 雷覇 頼平/慧緑(けいろく) 狂い咲きのホムラ 永劫の書庫守 バフォメット シェシャク・セブンスヘブン 劣火 クロイヌ 焔喰いの 烈火 サルファ
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IAS/S93-084 カード名:スノーファンタジーナイト 四条貴音 カテゴリ:キャラクター 色:青 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:1500 ソウル:1 特徴:《音楽》?・《高貴》? 【永】このカードの下にマーカーがあるなら、このカードのパワーを+2000。 【自】 このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたは自分の山札の上から1枚を公開する。そのカードが《音楽》?のキャラならこのカードの下にマーカーとして裏向きに置いてよい。(そうしないなら元に戻す) 【自】相手のアタックフェイズの始めに、あなたはこのカードを前列の中央のキャラのいない枠に動かしてよい。 RR:氷の城とは、真、幻想的なものですね。ですが、どこか私達アイドルと似ているような気がいたします。 レアリティ:RR SP 「アイドルマスター ミリオンライブ! Welcome to the New St@ge」収録 22/06/08 今日のカード。
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ステータス基本パラメータ 衣装 ボイス 入手方法 備考 コメント ステータス 基本パラメータ 変化前 変化後 【ファンタジーサーカス】愛島セシル No. 270 TOTAL DANCE VOCAL ACT 特技 JUST PERFECTのスコア2.5%上昇 レア度 SR Lv40 3081 683 1099 1299 サブ特技 LIFE60%以上でクリア時+12000スコア 属性 スター MAX 3920 900 1410 1610 メインスキル スターのACTパフォーマンス50%上昇 編集 衣装 ボイス 1 サーカスはまるで魔法のような不思議なことで溢れています。 2 フラフープは回すのが難しい。慣れることも必要です。 入手方法 スペシャル撮影:ショータイム!ファンタジーサーカス(2018/5/16~2018/5/31) 備考 コメント
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残された希望 溶かそうとしても、剣で叩き割ろうとしてもびくともしない種石を砕くことができる剣。その覇王の剣の所在を教祖から聞き出したラクス達。マルキオ教の本山を下山して、覇王の剣があるという遺跡を目指した。 シンの抜けた穴を全員でカバーする為、ステラのラクスも自分の身は自分で守るしかなかった。図らずもラクスが言った通りになったのである。吹雪に襲われ、身動きできない時。風雪をしのぐ為に谷に残る何かの残骸の中でラクス達は休みを取った。 勿論、凍えるほど寒く、炎の魔法で暖めても暖めても熱が奪われていく。 「一つ聞いてもいいか?」 ステラを間に挟んでミーアと肩を寄せ合っているアレックスが顔を上げた。問いの先にいるのはミーアの横のラクスだったが、正面の冷たい壁に向かって呟く。 「覇王の剣、手に入れてどうするつもりだ?」 種石を砕くのだ。 そう、種石・・・けれど一体どの種石を砕くつもりなのだ? アレックスはそう尋ね、ラクスはそっと懐の暁の種石に手をやった。今も、ほんのりと暖かい美しい石。 「分かりません。ですが」 力が手に入らないのなら、相手の力を削げばいい。 常套手段である。 「手に入れるのが先決だよ」 口を閉ざしたラクスの替わりにキラがアレックスに答えた。 何にどう使うのかを考える前に、実物を手に入れなければ話にならない。 「なぜ、ジョージ・グレン王は種石を砕く剣を残したのでしょう」 自らを危機に陥れることができる力を、子孫達ではなく、このような遺跡に残したのか。王墓に残されていた暁の種石といい、覇王の剣といい、実際の所は謎だらけだった。遥か昔に何があったのか今や誰も知らず、その力だけが残されている。 種石の力の使い方を求めてこんな所までやって来たけれど、種石は願いを叶える夢の力ではなかった。 迷っているのかもしれない。 種石の力を求めることを、種石にこだわり続けることに。 けれど・・・立ち止まることはできない。 帝国から独立する為に今できる事を考えた時、最後は結局、力なのだ。何をするにも最後に必要になるもの。ジョージ・グレン王が覇業を成し遂げるのに、決して欠かすことのできなかっモノもそう。 「わたくし達が帝国に対抗できる力は、これをおいて他にはないのです。種石も覇王の剣も帝国に渡すわけにはいきません」 口に出してしまえは、それが決意になった。 決して諦めないと、アプリル王国を復興すると彼に誓ったのだ。その為ならどんな小さな希望すら見逃せない。 もう、迷いはない。 わたくしはキラやアレックスのように戦えないけれど、恐れはしない。 ラクスは遺跡に辿り着くまで剣を振り続けた。 遠く離れた帝都では、多くの侍従に囲まれたシンが自室でおとなしく帝都を眺めていた。だが、帝都中央でのんびりしていたのはシンだけで、後のものは1人残らず慌しく動き回っていた。 皇帝の御座所へ繋がる回廊を足早に通り過ぎる彼ら、フェイス・マスターもそれは同じだった。 「この度の非常召集、貴方ならどう見る?」 問いかけたのは金髪をカールさせた女性だ。だが、例外なく漆黒のマントに描かれているのはフェイスの紋章で、全身を覆うのは他に一つとない甲冑。そして隣を歩くのは、シンを帝都に送り届けたばかりのディアッカだった。 「殿下は陛下暗殺の咎で元老院を解散させたお方だ。当然、反発も大きいからな、フェイスをここで一気に掌握する腹積もりだろう」 「全く、元老院が陛下を暗殺なんて、どこをどう取ったらそうなるのかしら。場合によっては殿下に事情をお聞きしなくてはならない」 「7年前の事件の時は陛下がいらっしゃったから大事には至らなかったが・・・」 「帝国転覆など、あの方に限って有り得ないわ」 兄が弟を殺すなど尋常ではありえない。 表向きはアプリルと組んで帝国に害することを企んだからというのが理由だったのだ。誰が見ても、それは口実であったが皇帝さえもその言い訳を黙認した。 ディアッカよりずっと年上の女性は当時の事を思い出したのか、顔を顰めた。 「それは今更さ。俺達は帝国を守るのが使命だからな」 「そういう貴殿はいいのかしら、イザーク殿下はアプリリウスに戻られたとか」 いつもなら皇帝であるパトリックが居た部屋の扉が開き、二人のフェイスが部屋に入る。待っていたのは残りのフェイス2人とギルバートだった。 「遅いぞ2人とも」 「いいさ、レイ」 「ご挨拶ね、フェイス・バレル。この度の事で第4局はとても忙しいのよ」 フェイス達はそれぞれ局を与えられて、それぞれが職務を分担していた。 「それはご苦労だったね、グラディス」 「いいえまだ片付いておりませんわ。殿下、皇帝暗殺の件でお話をお伺いしなくてはなりません。何ゆえ、元老院が暗殺したと言われるのか」 グラディスは腰に下げた剣に手をかけ、すらりと抜き放った。 フェイスが剣を抜く時は、その権力を行使する時。つまり、ここでフェイス・グラディスはギルバートを逮捕しようというのだ。 1人は沈黙を貫き、今1人は頭を振りながら溜息を付く。 しかし、それを黙って見ていなかったフェイスが居た。 「フェイス・グラディス、ギルバート殿下の仰られることが信用できないのか!」 「我らフェイスは帝国の法の番人。誰か1人の私利私欲では動きません、それは殿下もご存知のはず。ご同行いただけますか? ギルバート殿下」 剣先が薄笑いを浮かべるギルバートに定められる。 「何を無礼な事を言っている!」 「何をするっ」 危うく揉み合いになるところを、フェイス・バレルがグラディスを捕らえた。彼女の首を掴んで締め上げる。 「ああぁ」 彼女より背の低い少年がギシギシと片手でグラディスを持ち上げる。いくら女性とはいえかなりの重量となる鎧を着込んでいるのだ。それを軽々と持ち上げる最年少のフェイスマスター・バレルにディアッカが目を瞠った。 「皇帝不在の今、ギルバート殿下が臨時独裁官となられ、元老院なき後、議会を管理監督する非常時大権を行使されることとなった」 苦しそうなグラディスの息が次第に浅くなっていく。 「つまり今やギルバート殿下が帝国の法そのもの! その殿下に剣を向けたフェイス・グラディス・・・貴方こそ罪人となるのだ」 心酔したように言葉を紡ぐフェイス・バレルがグラディスを放り投げる。甲冑がこすれあってガチャガチャと音を立てて床を転がる。もはや息も絶え絶えで、深く息を吸うこともできない彼女をギルバートが見下ろす。 「すまないな、タリア。この子はまだ手加減ができなくてね。だかこれで、誰が主か君も分かっただろう、フェイス・カガリ」 一番遠くで一連の動きを見ていた、もう1人のフェイスへとギルバートは視線を投げた。同じ金髪でも、フェイス・グラディスのように美しくカールせず、跳ねるに任せたざんばらな髪。 視線を受けて、カガリはついに来たなと身構える。 グラディスが言ったようにフェイスは帝国の法の番人であり、皇帝直属の臣下である。しかし、事実上は皇帝、ギルバート、イザークと懇意にしている主が存在する。 「君は父上にあれこれ報告していたようだが・・・」 「いいえ、私が仕えるのは帝国です。そして今や帝国の頂点に立たれるのはギルバート殿下」 伏したタリアの横まで歩み出て、臣下の礼を取る。 ここで帝国から放り出されるわけにはいかないのだ。ここで膝を折るくらい、故国が受けた屈辱に比べれば何だというのだ。 カガリを面白そうに見つめるギルバート。 「二度も主を変えるというのなら、君の忠義を見せてもらおうか」 ふふっと小さく笑って視線の先を少しずらす。 「そこにいる罪人に止めを刺してやれ」 顔を伏せたまま、カガリは唇を咬んだ。 まず初めは滅んだ故国からプラント帝国へと仕える先を変えた。幸い、貴族社会と同じくらい実力社会の進んだ帝国では、カガリでも腕次第で出世することができた。剣の腕と持ち前の啖呵でここまでのし上がったのだ。 皇帝に気に入られフェイスマスターとなり一個軍を与えられた。 もう少しなのだ。 もうすぐ復讐へと手が届くと言うのに。 グラディスはカガリにとって先輩であり、少ない女性仲間だった。この時代のフェイスマスターの中で一番の年長なのだ。心内に抱えているものを最初に見破ったのも彼女だった。その時は軽く女性の勘よといわれて傷ついたのを覚えている。 『フェイスとして貴方のやることは何?』 『今、何をするべきなのか考えなさい。でないと先には進めないわ』 すぐに突っ走ろうとする自分をやんわりと制したのも彼女だった。 その彼女をこの手で殺せと? 「どうした?フェイス・カガリ」 のろりと床に転がったグラディスの剣を取った。 私は―――。 誓ったはずだ、滅びた故郷を前にして。 彼女は立ち上がる。そして、伏したタリアの傍らに膝を突いて仰向けにした。うっすらと開いた灰色の瞳を見つめる。 「私のことはいい。帝国をお守りして」 私の望みが違う所にあると知っていて、貴方はそんな事を言う。 カガリを目を閉じて柄を握り締める。 「すまない」 脇の鎧の縫い目から剣を刺し込んだ。 うっ。 一瞬ビクンと跳ねる身体から力が抜けて行き、休息に瞳から光が消えていく。 「良かろう。君の言葉を信じるとしようか」 カガリはただ無表情にギルバートの前に膝を着いた。 一言でも口を開けば荒れ狂う胸のうちを声に出してしまいそうで、ぐっと耐えた。 「ではまず、シンの警護でも新たに頼もうか。もう二度とあれが帝都から出ないように、空賊の真似事などさせないようにな、君が危険から遠ざけてくれ」 それは中枢からの締め出しを意味していた。 帝都から出ず、帝都においてなんの権力も持たないシンに付くことは自由に動ける時間を失うと同義。カガリは唇が切れるほど強く咬み締めて告げた。 「拝命いたします」 皇帝亡き後、長男ギルバートは皇帝位には就かず、この危機を乗り越える為と称して法には記されていても今まで誰も任じされたことのない独裁官という立場になった。そして、議会を押さえるため、まず行ったことが非常時大権の発動であった。 皇帝、元老院、議会に分散されていた帝国の権力が、ここに一極集中することになったのだ。 これでいいんだ。 ギルバート殿下が失脚することはまずない。 後は時が熟するのをじっと待つだけ、睨みあいを続ける帝国と連邦がいつまでも保つ筈がない。いつか緊張は熟れて爆ぜるだろう。 「気にするなよ。ちょっと危なっかしい奴だけどシンはいい奴だから、あいつを頼むよ」 ディアッカに肩を叩かれる。 末の弟の警護になってしまったが、考えようによってはそれでもいいのかもしれない。 「着任の挨拶にでも行って来るか」 「ああ。そうしてくれ」 だが、カガリが訪れた先でシンはぼんやりと窓から空を見上げていた。 その様子に、一瞬フラッシュバックする懐かしい記憶。 青い空には白い雲が一つだけ浮かんでいて、窓から流れる風がカーテンを揺らしていた。 もうすぐお昼になろうかという時間、机にしがみ付いて先生が出した問題に頭をひねっている少女と、とっくに解くことを諦めた少年が両手で頬杖を付いて空を眺めていた。 こんないい天気なのに、勉強してるなんて勿体無くない? 何言ってるんだ。だから今、せっせとやってるんじゃないか。 部屋には2人の他に誰も居ないけれど、少女はこの部屋の隣で侍女が様子を伺っているのを知っていた。だから、誰も見ていないと思った少年のようにズルをすることができなかった。 「そんなの、別に覚えなくても困らないって。だってカガリ、大陸の疫病全部の名前を言えたって今日の天気は変えられない。あ~、勿体無い」 やる気をそがれた少女も手を止めて一緒に空を見上げる。結局、2人とも覚えることができなくて先生にゲンコツを喰らった。 バカだな、アイツ。 フレイは私達が覚えられなかった病気で死んだのに。 ちゃんと気づいていれば、オーブが滅びることはなかったのに。 「あのさアンタ、何か用?」 耳に飛び込んできた声にハッとすれば、カガリをじっと見つめる真っ赤な瞳と目が合った。 これでも帝国の王子か。 今大変な時期のプラント王国において、王子であっても何の力も持たない子供が哀れだった。方や帝国の全権を手中に収め、方や誰にも相手にされない少年。それを目の前の少年も分かっているのか、声が目いっぱい強がっていた。 真っ赤目が大きく開かれて、カガリは思い出す。 ああ、この少年はついさっきまで、アイツと一緒に居たのだった。 アイツの仲間で、敵として相対した事があった。たったそれだけで、シンの印象が気に入らなくなるのだから不思議だ。 「これは失礼、殿下。この度新しく殿下の警護を任されました、カガリと申します」 彼も私を知っているから、何事かと身構えている。 少しだけ、意地悪をしたくなる。 「どうして、フェイスマスターが俺の警護なんて」 「それは殿下が二度と王宮を逃げ出さないためです」 くっと言葉に詰まる少年にカガリは追い討ちをかけた。 「せめて陛下の葬儀が終わるまでぐらい、おとなしくできるな?」 我ながら主に対する言葉遣いじゃないなと思った。 明日からの葬儀は滞りなく終わるだろう。 けれどこの少年を閉じ込める柔らかな檻はずっと続くのだろう。 カガリは少年の後ろに立って同じように空を見上げた。残念ながら雲に覆われ始めた帝都の空は青い部分がとても少なかった。 雪の渓谷を越えた先にある遺跡は山間にひっそりとあって、遺跡を守護するマルキオ教の司祭達がラクス達を遺跡の中へと通す。 「グレン王の王墓と同じね」 遺跡の中はミーアでなくてもシードが目に見える程溢れ、ラクスは頭の中にリーンと鈴が鳴り響いているのを感じていた。迷路のような地下道も気の遠くなるような深い階段を下る。 「・・・行き止まりだね」 「壁に仕掛けとかないか?」 キラとアレックスが周囲を調査するが、あるのは火の消えた燭台のみ。 燭台のくぼみに掘られているものが、王墓で見た文字と似ているような気がして、ラクスは歩み寄って手を滑らせる。 覇王の剣を求めるものよ。 証をこれにかざせ。 不思議と頭の中で組み立てられていく文が、アスランに朗読されるような気がしてラクスは少しの間目を閉じてその余韻に浸っていた。 「種石ですわ」 ラクスは言われた通り、暁の種石を燭台にかざす。 ただの行き止まりだった壁に新たな通路が出来上がっていて、キラもアレックスも、皆がラクスを見た。 「行きましょう」 理由を尋ねられても困るから、ただ先を急ぐことを提案した。 亡くした人が教えてくれたのだと言ったら、彼らは信じてくれただろうか。ほんの少しだけ笑っていた彼女を、アレックスが眉を寄せて横目で見ていて、その様子をミーアがこっそり見ていた。そして、そんな2人をキラが見ている。 さらに奥へと進んだ遺跡の底に、巨大な祭壇があった。 光に彩られ、中央に封印されるように配置されているのは間違いなく剣。 「あれが・・・」 アレックスが中央の祭壇を見上げる。太陽の光など一筋も届かない遺跡の地下だというのに、玄室はお互いの顔が確認できるくらいには明るい。それは全て、剣を封印している祭壇に流れる光の筋のお陰であり、一歩踏み出すと、まるで鼓動のように脈打った。 「間違いなく覇王の剣」 誰もがその異様な姿の剣に足を止める中、ラクスが一歩づつ近づく。 一歩、また一歩と近づくたびに光が溢れ、封印が少しづつ解けていく。 まるで待っていたかのように。 完全に目の鼻の先、手を伸ばせば触れられる所まできた時、剣を戒めていた封印が全て開放された。溢れていた光は剣に収束して、ふわりと覇王の剣がゆっくりと降りてくる。 淡いグリーンの光がはじけるように小さな光のたまになって空中に散っていく。 手を伸ばしたラクスの腕に収まると、本当に拡散してずしりと剣の重さが伝わってくる。 これが、覇王の剣。 かつての覇王、ジョージ・グレンが手にした力。 わたくしはこの力を・・・。 女の片腕で支えられるわけなく、ズシンと床へと穿つことになってしまった。 「すごい刃だね。こんな剣で本当に砕けるのかな?」 覇王の剣の刃は剣先で二つに裂け、途中にも槍受けが幾つも出ている奇怪な形をしていたのだ。両手に力を込めて引き抜いたラクスはキラが言うとおり、おかしな造りの刃を見る。 ただの剣ではないのかもしれない。 まさか、種石と同じようにこの剣も手に入れただけでは意味がないと―――。 「砕いてみればいいじゃないか」 何をとは言わない。 アレックスが口にしたことが何を意味するかなんて、その場に居た誰もがわかっていた。 「どうせ使い方も分からない種石だ。今この場で砕いて、剣が本物かどうか確かめればいいじゃないか」 その通りですわ。 持っていても使えない種石。本当に使えるのか分からない覇王の剣がここにある。ラクスは床に種石を置いて、辻褄の合う提案に覇王の剣の柄を握り締める。今一度種石に視線を移して、あるはずのないものに驚いて顔を上げた。 種石の上に置かれた手。 青白い燐光を纏う手の持ち主が自分を見つめていた。 微笑んでゆっくりと頭を振る。 駄目だよ、ラクス。 彼の声が聞こえた。 戻る 次へ ちょっと中途半端です。今回予定をクリアできなかったよ、ああ、段々長くなる~。ちゃんと追われるのか不安になってきた。
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2009/07/18 SFCファイナルファンタジー5r 安価条件 クリア 実況時間32時間31分 寝落ち確定で未クリア 安価人さん生存 その後、フリーダムスレにて計50時間実況しクリア。 この日3本目、再々安価で来たのがこのゲーム ファイナルファンタジー5の改造版でした。 誰かが短かったからって再安価すると鬼畜安価くる とか言ってましたが、 ここまできついのがくるとは思わなかったですorz このゲームがどんなのかは知らなかったのですが、 ノーマル版5はクリアはしてなかったですがプレイしたことはあったので 何とかなるだろうと思ってました。 しかし、普通にプレイしてたらかなりきつかったです。 通常敵は出てくる敵が変化したりしてましたし、 ボスは他のFFシリーズのボスが出てきたり強化されていたりと 最初のボスから苦戦しっぱなしでした。 毎回ボス戦の旅になども全滅し、倒すのに1時間以上かかったりして 結局第1世界クリアだけで16時間30分かかってしまいました。 この後第2世界でもかなり苦労しました。 ビックブリッジのギルガメッシュがストーカーみたいに4人になっていたり、通常版でも強かったアトモスがさらに強くなってたりと苦戦の連続です。 其の上、ムーアの大森林では封印を守る者の代わりに第1世界で苦戦させられたFF4の四天王が4人同時に襲ってきて、 さすがにここはlvアップやアビリティ稼ぎ、アイテム稼ぎなどしないと無理かと思いました。 何度も戦い続けて少しずつ倒し方がわかってきて、 最後には何とか倒すことに成功しましたが、正直運が無ければ無理でした。 いよいよ第2世界のラスト、エクスデス城に向かったのですが、 このとき第2世界突入から14時間30分位かかっており、 すでに23時だったのでご飯休憩をとることにしました。 しかし、これが間違いでした。 ご飯食べ終わってもう23時30分だったので椅子に座ってコントローラー持って再開しようとしたのですが、 ヘッドフォンを付け忘れていたので椅子に座ったまま床に手を伸ばしてヘッドフォンを取ろうとして…… 次気づいたときは、床に横たわっていました。 どうも床に手を伸ばしたときに頭が揺れたことで意識が飛んで、 それでそのまま椅子から落ちて寝てしまってたみたいです。 再々安価だったとはいえ、時間にすれば34時間で寝落ちです。 1日目の深夜帯でいつもと違って眠気が全然飛んでくれなかったので ちょっとやばいとは思っていて、それでいつも使わない椅子出して 眠気があまりこない体勢でプレイしたりしてたのですが まさか、頭がゆれて意識が飛ぶことになるとは思いませんでした。 安価人さん、視聴者さん、鏡さん、長時間付き合ってくれたのに途中で落ちてしまい、本当にごめんなさい。 おま指では寝落ちしてしまいましたが、クリアまではなんとか実況していきたいので現在フリーダムで実況することにしております。 起きたあと、7 22~15:57まで続きをプレイしていました。 第2世界最後のエクスデスはかなり強かったです。 魔法攻撃は吸収か無効化だったのでこちらの攻撃ははりせんぼんの1000ダメージでかなり長期戦となりました。 しかもエクスデスを追い詰めると本気を出してきて、攻撃を防げないと前回復してても即全滅 耐え切っても、2回攻撃してきて毎回防げないと2人ほど死んじゃうような状態でさすがに無理でした。 なのでイージスの盾を盗んで4つにして、それを使って攻撃を防ぐことにしました。 イージスの盾が想像以上に大活躍してくれたおかげでエクスデスは撃破できました。 第3世界では、ピラミッドクリアして石版1枚GET&レナを再び仲間にするところまで現在やっております。 次の配信は7/25土曜日朝10時よりフリーダムで配信予定となっております。 安価人さん、フリーダムでも続きを見てくださって本当にありがとうございます。 土曜日までに少しはジョブ稼ぎしといたほうがいいかなぁと思案中。 7/23 22 40~23 50 倍速AP稼ぎ 4人ともに、シーフと青魔導師ジョブマスターしました 7/24 22 00~23 10 再びAP稼ぎ マジすか!? 忍者 レナ 狩人 クルル 赤魔導師 ファリス 侍 をそれぞれマスター 7/31 22 00~24 00 今週も少しAP稼ぎ マジすか!? ナイト、狩人、魔法剣士、パラディン レナ 忍者 時魔導師、魔獣使い、パラディン クルル 魔法剣士、時魔導師、パラディン ファリス 赤魔導師、パラディン をそれぞれマスターしました サボテンダーがAP10あっておいしいです たまに全滅するけど^^; 4回にわたる実況の末、ようやくクリアいたしました。 ラストのほうは火力やHPが足りず、オズマ戦では歌で攻撃力UP、 ラスボスでは調合を使い、それで何とか倒せました。 5はエンディングが何通りかあるみたいで、 今回見たのは全員生存ENDでした。 何とかクリアできたものの、 倒していないボスがまだ何匹か残っているので 残りもいつか倒したいものです。 皆さん、お疲れ様でした。 名前 コメント すべてのコメントを見る てst -- (名無しさん) 2009-07-20 07 05 09
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真実が紡ぐ歴史 帝都とは違う湿気を含んだ大気に思わず頬を撫でた。 そして、目の前の苔むした建物を見た。蔦で覆われ、注意深く見なければ人工物だとは思えない石造りの建物。 「では、行こうか」 一瞬のうちに場所を移動する魔法などあっただろうか。 イザークは知識を探るが思い当たらず、コーディネーターとやらの能力に顔を顰めた。 ドクター・クルーゼの後をついて、蔦を手で払いのけて建物の中に入っていく。ひんやりとした壁に手を這わせ細い通路を抜けた先、イザークの目に入ったもの。 なんだ、ここは? 「君には知っておいて貰った方がいいと思ってね」 「ここは・・・!?」 伽藍とした空間では岩肌がむき出しになり、建物の一部が大きく抉られていた。 壁は壊され、天井から床から根こそぎごっそりなくなっている。 「種石があった場所だ」 種石!? この状態は、誰かが持ち出したのか。だとしたら、一体誰が。まさか・・・。 「今はすっかり、連邦に持っていかれてしまったがな」 「連邦も種石の研究をしていると・・・いや、当然だな」 それは予想してしかるべきであって、今更驚くべき事柄ではない。この異端のコーディネーターが見せたいものは別にあるのだと、イザークは瓦礫とかした空間を見渡す。地肌が露出した床に、崩れた壁や天井が散らばり、無残にも荒らされた遺跡。 民俗学に造詣が深いイザークにはこの光景は目も当てられぬものであった。 詳しく調査すればどれだけの事が明らかになっただろう。種石を安置していた稀有な遺跡として、歴史に大きく貢献しただろうに。開戦の事は別として、臍を咬む思いだった。 「奴らは、戦争に利用するだけしか脳がないのか」 辛うじて残った奥の壁だけが空しい。 「おかげで、君に見せたいものを残してくれたよ」 瓦礫の山を歩き出すドクターの後ろを歩く。不思議な文様や文字が刻まれた瓦礫を見るに付け、イザークは眉を顰め舌打ちする。奥の壁にも同じように文字が刻まれていた。 「読めるかね」 「ふん」 扉らしきものにびっしりと文字が刻まれている。 イザークは直接はその文字を知らなくても、遥か昔の古代文字だと言う事は分かった。崩れた瓦礫からおおよその年代を探って、現在発見されている文字を当てはめる。 だが、それ以上に、文末に刻まれた模様に見覚えがあった。 「覇王の刻印・・・!?」 「ほほう」 と言う事は、これはグレン王が書き記したものなのか・・・。 イザークは顔を上げ文頭へと視線を投げる。 種石を求める者よ 真実を手にする覚悟あるなら この扉を押して奥へ進むがよい その力の意味と使い方を知るであろう 種石を求める者よ 真実を手に入れるならば シード弾ける時 蒼穹への門が開かれん 覇王ジョージ・グレン 「流石は殿下。博識であらせられる」 ドクターが感嘆するのを一瞥して、考え込む。 文言が意味する所は簡単である。だが、具体的に何がどうなのかと言う点はさっぱり見えてこない。この奥へと進むしかないのだろうが、それにはイザークは些か躊躇する。 いや、危険も何も今更ではないか。 現にここにはドクターと自分の2人しおらず、何か魂胆があれば今までに何度でもチャンスはあった。 「とにかく、奥へ進めばよいのだろう」 扉へと手を触れる。 触れたと思った。 硬い石造りの扉の表面に波紋が広がり、いきなり視界が切り替わる。自分は動いていないのに、扉が後へと移動したかのようだった。 「凝った仕掛けだ。俺は種石を持っていないのだがな」 「そこは大目に見てくれ」 続く部屋はずっと小さな部屋で、側面の壁にぎっしりと彫られた文字があった。 微妙に行や列が曲がっている所を見ると、誰かが自力で掘ったものらしい。くせのある古代文字が延々と綴られている。 「今度は何・・・だ・・・」 試しに目に入った文字を解読していく。 はじめは怪訝な表情で読み進め、ぶつぶつと独り言が混じる。 次第に文字をなぞる指先が震えて、解読する早さがどんどん早くなる。 記されていたのは、古代の王国の歴史。 歴史と言うよりは知っていることを書き記した昔語りに近い。 「これを記したのは覇王か」 所々に覇業が絡んでくる所を見ると、時代はジョージ・グレンが大陸の覇を成し遂げた時代。一介の小国の青年が大陸の数々の国を平定した原動力は、今まで種石だといわれていた。神から授けられた力によって大陸に平和をもたらした。 「罪悪感か、罪滅ぼしのつもりか、こんな事がーーー」 そう伝えられていた。 大筋では間違ってはいない。 けれど、ここに記されている王国を誰も知らないとはどう言う事だ。 「この部屋はどちらかと言えば、我らの空間なのでね」 最後の一行に記されている。 我が記憶が消される前に 我が友、我が戦友、彼らの国の歴史を記しておく。 「これが我らのやり方だ。存在そのものを消し去るのだよ」 忽然と全ての記録から消え去った国。 風化した人々の記憶からも、歴史書からも、存在そのものがきれいさっぱりなくなっていた。歴史や民俗学を専門にする自分が知らないのだから、ドクター・クルーゼの言う通りなのだ。 ここに記されたことは真実なのだと。 ジョージ・グレン王が成し遂げた大陸統一に隠された真実の歴史。 大陸が纏まる前に数あった国の中でも最大の国、最後までグレン王と争った大国の存在を、今では誰も知らない。 種石の力をもって、グレン王は覇を成し遂げた。 ただ、そう伝えられるのみの歴史の裏に、血で血を洗う壮絶な争いと、当時、歴史の紡ぎ手に抗った国の存在。 「貴様達はっ!!」 振り返ってドクター・クルーゼに一歩踏み出す。 振り上げた拳は、最後に覇王が書き記す手を止めたであろう壁に叩きつけた。 「だからこそ、私はここにいるのだよ」 彼らの調停とは、誤った歴史を根底から書き換える。 今までそこにあった国の、王の、国民の生き様をきれいさっぱり洗い流してしまう。 帝国の歴史も、そこに生きる民の毎日の喜怒哀楽も、涙一つ、消されてたまるものか。 中央で難題を前に頭を捻る官僚達、下町の幼児の鳴き声も、辺境で汗を拭う農夫もなかったことにされてしまう。奴らに見初められて命を落とした弟も、苦渋の決断を強いられた父や兄の想いさえ。 コーディネーターだと言う彼を睨みつける、イザークの瞳は鋭いほどの青い燐光を宿す。 瞬時に場所を移動し、記憶を操り、大陸中から一国の情報を消し去るほどの力を持つものがイザーク達の敵なのだ。 「帝国は絶対に負けるわけにはいかん」 握り締めたこぶしの中で爪が食い込む。 どこか負けなければいいのだと、軽く考えていた。 だが、これで絶対に負けられないのだと、絶望的な危機感が急き立てる。 遺跡の外に出れば、鬱陶しい大気さえ、手で払う余裕もない。 「君の部下は中々優秀だな」 目の前に小型の高速飛空艇が停まっていた。 中から出てきたのは、帝国第3軍副官のシホ。 「勝手に出歩かないで下さい、殿下」 「なぜ、ここが・・・」 シホはあっさりと種明かしをした。 「ギルバート殿下からお伺いしました」 「一言断っておいたほういいと思ってね」 「それで、何があった?」 ただ、居場所を押さえる為にシホが自らで向くことはない。イザークの問いかけに、シホは姿勢を正して報告用のプレートを構える。 「連邦軍の侵攻を確認しました」 飛空艇のブリッジで報告を受けるイザークは、連邦の領土を見下ろした。砂漠を挟んだコスモス連邦は大まかな所で帝国の風土は変わらない。 「7時の方向に敵影を発見」 タイミングが悪い。 ドクター・クルーゼはシホと入れ替わりに一足先に帝都に戻り、イザークはシホとともに前線の帝国軍を視察して戻る予定だった。低空を飛び、もう少しで連邦の領空を抜けようと言う所で、連邦の哨戒機に見つかってしまった。 こんな事なら、ドクターに付いて行けばよかったと思っても今更遅い。 「逃げ切れるか?」 「分かりません。単機なのか、それよりも国境沿いの方が問題でしょう」 今はまだ連邦の領空であるから、これから向かう連邦との国境沿いにむしろ大軍が控えており、哨戒機の連絡で網を張られているだろう。 「殿下。陸路を行きます」 前方の煙を吐く火山を避けて、山間に飛空艇を隠す。 製造元が分からないようにカモフラージュされているが、万が一のこともある。シホはある程度飛空艇から遠ざかると、自動操縦で飛空艇を火山湖に沈めた。 「足を手に入れねばならんな」 「この位置ですとオーブを抜けねばなりません」 地図を確認するシホはともかく、イザークは陸路を進む装備を何一つ持っていなかった。辛うじて腰に下げた軍用の剣で身を守ることはできるが、旅装束には程遠い。 「私が調達して参ります。しばしお待ちを」 一瞬でシホが姿を消す。 彼女の腕を信用しているが、イザークは自分だけがのんびり待っているわけにもいかず、手じかな草花でまず衣服を汚す。王宮で着ていた服のままでは襲ってくださいと言わんばかりだ。 流れる風が熱を持ったのが感じられ、腰の剣に手をかけた。 「厄介な事になったな」 取り囲む気配が複数。 冷静に数を探り、開いた手で魔法を唱えた。防御と白魔法の回復呪文を自らに掛ける。 「いつまで隠れているつもりだ」 言うが早いか、火を纏ったマジックアローが降り注いだ。 バサバサと鳥が森から飛び立ち、木の葉が舞い散る。 鬱蒼した森がざわざわと音を立てて風を遮る。動物達の音に混じって何かが高速で動く音に、シン達は馬の足を止めた。 「連邦軍だな」 崖下に隠れて一団をやり過ごす。 かなりの人数が森を駆け抜けて行ったが、狙いはラクス達ではないようだった。 「どうする?」 「行くしかない。二手に分かれよう」 「二手って、どうする気?」 キラが発案者のアレックスを問いかける。 問われたアレックスがミーアと頷き会って、森の様子を探る。 「俺達が囮になるから、その間にロドニアへ向かうんだ」 「おいおい、お前ら2人で大丈夫かよ」 アレックスとミーア。たった2人で逃げ切れるのか、ハイネの心配はもっともな事だったが、アレックスは事も無げに腰を上げる。 「元々俺達は空賊だ。心配はないさ」 「大丈夫よ、シン」 キュッと抱きしめられて、『しっかりしなさい』と注意された。アレックスにいたっては『ヘマするなよ』と頭をポンポン叩かれる。 2人はあっという間に森の中へと向かい、男達の声があちこちで聞こえた。足音や銃声が聞こえるたびに身体が硬くなるが、その音も徐々に遠ざかっていく。 耳を澄ましていたハイネとキラが、おもむろに立ち上がる。 「行くよ」 キラが道を切り開き、ハイネが後を守る。その中にあって、シンの位置はキラの後でラクスを守ることだった。剣を抜き、周囲を警戒しながら馬を進める。垂れ下がる蔦を切り、枝を打つ。慎重に馬を進め、幸運な事に連邦の兵士とは出くわさなかった。森の木々は徐々にまばらになり、一本の道に出た。 「警備兵だ・・・」 シンが気がついた時には、ハイネがその兵士の口を押さえて森の中へと引きずっている。短剣を米神に当てて、研究所のありかを吐き出させていた。ラクスが目を背けたが、昏倒した兵士を置いて馬を進める。道の先、木々の間に建物が見えた。 木々に迷彩シートで巧妙に隠された入り口。 「あれが研究所の入り口だね」 シン達は内部へ侵入するチャンスを待った。 しかし、囮となったアレックスとミーアは予想外に多い連邦軍に、今だ逃走を余儀なくされていた。沸いて出る連邦軍の中には、雑魚のように弱い兵士と中々の手繰を持った兵士が入り混じっている。 「妙ね・・・」 「ああ。誰かを追っているようだが、作戦にしてはあまりにちぐはぐだ」 連邦軍が翻弄されているのだろうが、数が多く、標的も逃げおおせてはいないと言ったところか。 「どうやら、標的はあちらの方角だわ」 耳を澄ましたミーアが呟く。 チラリとアレックスを横目で見るから、どうするのかと暗にアレックスに聞いているらしかった。連邦軍がシン達が逃げた方向とは反対に終結するなら、もはやアレックス達の役目も一先ず終わりである。 ここでシン達を追うか、それとも。 その時、森の木々からシードが立ち昇る。 何者かが魔法を使うのだ、広範囲に影響を及ぼす魔法を。 「やばいっ!」 慌てて防御の魔法を唱えるミーアとアレックス。 森の奥から吹き抜ける冷気を含んだ風が木々を凍らせていた。 「これはどうやら・・・わざわざ行くまでもなかったようだな」 一瞬にして冬景色となり、樹氷を纏って凍りついた森。 「でも、こっちに向かっているみたい」 「そいつはまずい」 同じように、難を逃れた連邦軍も退散を始めている。アレックス達は彼らを相手にしながら、徐々にこの魔法を放った主を恨み始めていた。容赦なく魔法を放ち、森全体を戦闘フィールドにして戦う大馬鹿者。 「これじゃ、敵も味方もないじゃないか」 「仕方ないじゃない。アタシ達だって似たようなものでしょ」 この森に味方の部隊はいないから、それを気に掛ける必要はない。 そんな戦い方に舌打ちして、連邦軍の兵士を殴り倒す。 「来るわ」 ミーアの咄嗟の一言からやや遅れて、強大なシードの流れをすぐそばに感じた。 アレックスはシードの流れの中心に視線をやって、そのエメラルドの瞳を目いっぱい見開くことになった。 森の濃密な大気を利用して、イザークは魔法で一掃する作戦に出ていた。仮にシホがここにいたとしても、十分に身を守る術を心得ている。とにかく数を減らさなければこの森から出られない。 シードが十分に集まったのを感じて、イザークはそれを解き放つ。 広域を氷結する魔法が自身を中心に放たれる。 白い氷の粒となったシードが吹雪となって森を抜ける。 木漏れ日に反射して、キラキラとオーロラ色に輝いた。 「ふん。連邦にも身を守れる奴がいるか」 凍りついた樹木の向こうに動く影があった。 それは、今までの連邦兵とは違って、ひどく場違いな格好をしていた。 一人はキャンベラで、もう一人は若い男。 晴れていく氷の世界で、イザークは一瞬、彼と目が合った。 まだ距離があって顔を判別できるはずがないのに、はっきりと見える。氷の霧のベールの向こうで見開かれる瞳は、記憶に残る色。 あれは。 ―――アスラン。 向こうもこちらを見つけたのか、驚いている。 他人の空似か。 もう7年前の記憶だ。 いや、俺がアイツを間違えるはずがない。 「お下がり下さい!」 2人の間に割り込んだ声とともに、降り注ぐ炎の矢とそれを打ち消す風の防御壁。 同時に上空から切り込んできた連邦の兵士の一撃をイザークは剣で受け止める。背後に隠れていた兵士の胴を貫いて、力任せに振り落とす。血飛沫とともにまた一人。 「滅殺っ!」 「邪魔するなよっ」 声を張り上げて突っ込んできた一人を、イザークはそのまま横凪に払って絶命させ、さらに横から迫る連邦兵を返す刀で切り上げる。 「ぐはっ」 ちっ、しぶとい。 明らかに致命傷となる傷を押して、血を吐きながら魔法を唱え始める。 しかし、身体が浮き上がった所で、連邦の兵士は横から来た衝撃に頭を撃ち抜かれていた。森の中を銃声が木霊して慌ててイザークは森の奥を探す。 表情の読めないエメラルドの瞳と、射抜くようなサファイアの瞳。 視線が合ったのは瞬きよりも短い時間で、求める姿はすぐに踵を返した。 一瞬の邂逅は終わりを告げる。 けれど、イザークはうっすらと笑みが浮かぶのを止められなかった。 ディアッカが言っていたのはこの事か。 シンが乗り込んでいるという飛空艇を操る空賊は、見目麗しいキャンベラをパートナーにしていると言う。 確かに似ている。 違うな。似ているわけではない、あれは、アスランだ。 「シホ、遅いぞ」 「申し訳ありません。少し手間取りました」 視線を戻せば、木々の向こうに気配は消えている。ここで深追いする必要はないと、当初の目的を思い出す。 「戻るぞ」 たどり着いた町で待っていた帝国の間者の手引きで無事連邦を脱したイザークは、国境沿いで防衛に当たる帝国軍の飛行戦艦の艦橋に上がる。侵攻して来た連邦の艦隊をなんなく沈めて考え込む。 折角、装備を換装した艦隊だったのだが、その実力を発揮する間もなかった。 「先方の所属は割れたか?」 「は、推測ですが、第5艦隊の一部ではないかと・・・」 「ジブリール理事か」 連邦は帝国とは違う国体だが、民主主義を謳うその内部は決して纏まりのあるものではない。連邦議会、安全保障理事会と数々の思惑が絡み合っているのは帝国と同じである。なまじ、民の合意を国の基本に上げているから動きが鈍い。 その中でジブリール理事はアズラエル理事とならぶタカ派で知られていた。 「この程度で侵攻してくるとは、何か隠し玉でもあったのか?」 もう少しであわや開戦となる事態に、連邦も帝国もこれ以上の動きを見せない。帝都からは帰還命令が出て、イザークは迎えに来たカガリの指揮する艦で帝都へと戻ることになる。 「間に合わなくて残念だったな」 「まだこれからです、殿下」 その通りだ。 まだ、何も始まっていないのだ。 イザークは、見えてきた帝都を前に硬く瞳を閉じる。 帝国の未来に立ちはだかっているあまりに大きな壁に、もう逃げられないのだと思う。 俺は、俺の為すべきことをするだけだ。 もうあの頃のように何も知らなかった自分ではない、そして、それは、お前も同じなのだろう? あの一瞬、目があった顔を思い出して。 「随分と、ましな顔になったじゃないか」 一人呟く。 カガリが怪訝そうな顔を寄せるのに、唇の端を上げて笑い返した。帝都でイザークを待っていたもの、それは、編成された大艦隊と、ギルバートのいる執務室への呼び出しであった。 兄と弟で、引けない一線の駆け引きが始まる。 「プラントの名を持つ者が先頭に立たずして、なんとする」 「まさに帝国の脅威。陛下身罷った今、我らが立つのは当然のことです」 執務室で集う帝国の重鎮達は、ギルバートとイザークのやり取りを固唾を呑んで見守っていた。事は帝国の総司令官を誰が勤めるかが焦点であった。 「しかし・・・ここは私が引き受けるが筋だと思うが?」 頷く議員達にとって、議会の採決権限を持つ独裁官は目の上のたんこぶであった。 「独裁官殿がお出になるには及びません」 イザークは何が何でも是を引き出さなければならなかった。 プラント帝国のために。 作戦中のレイを除いたフェイスマスターと議会の議員達を前に言い放つ。 組織された防衛艦隊は、各フェイスマスターが持つ艦隊をあわせれば、5個軍団はくだらない大編成となる。あわよくば、開戦を思いとどまらせたい帝国にとって、連邦に戦えばただではすまないぞと知らしめるに十分な数を揃えたつもりであった。 「ですが、帝国の舵取りは誰がなさるのです」 フェイス達が頷き、また、議員達が頷く。 邪魔者ではあるが、誰も本気で帝国の舵取りなどできないのだ。それだけの責務を背負う覚悟も、技量もない。 イザークは兄を出陣させるわけにはいかなかった。 何が何でも帝都に押し込めて、危険から遠ざけなければならない。ここで兄を失えば間違いなく、帝国が内部から瓦解する。それを防ぐ為に自分が最前線に出ると進言する。 「どうか、わたくしにその任を」 膝を折り、頭を垂れる。 臣下の礼を取った弟に、ギルバートは否を唱えることができなくなった。 自分が帝国の最高位にいるのだと言う事を暗に示してみせたのだ。頂点に立つものが帝都を離れて防衛戦に出ることは許されない。元老院なき今、機能不全の帝国議会を前にして国を取りまとめ、国政を導く責があるからだ。 皆の見ている前で、イザークの決意を無為にできない。 「イザーク・ジュール・プラント。そなたにこの度の防衛の、総司令官を任ずる」 ギルバートが立ち上がって、弟に手をかざす。 その瞬間から伝令が中央を走り回り、帝都に緊張が走る。 切れ者と名高い第二王子を頂いて、ついに帝国軍が動き出すのだ。 人が出払った執務室で、肘を突いて組んだ両手に頭をつける。 「イザークを頼む」 窓の外から帝都を見ていたドクター・クルーゼが溜息を付く。 「残念ながらそれは断られたよ」 「そうか」 肩の力が抜け、ドクターに肩を叩かれる。 「私は君の傍にいるさ。彼にそう頼まれているからな」 ギルバートは、総司令官の任を拝命して辞するイザークを思い出す。 少し歳の離れた弟は真っ向から正論を唱える学者肌の人間だった。それが何時頃か、自分と同じ権謀渦巻く舞台に立っていた。持ち前の負けん気と興味への貪欲さから、瞬く間に帝国の一翼を担うようになる。喜ばしく思う反面、その力を頼ってはならないとも思っていた。 それが、気がつけば当てにしている。 弟が戻って来るのは、この戦いに勝ってからになる。分の悪い、神を相手取ったこの戦で勝利を収めるまで、お互いに言葉を交わすこともないだろう。 改めて、自らが挑んだ途方もない道の是非を問いかける。 「やはり、行かせるべきではなかったな」 だが、我らは負けるわけにはいかんのだ。 大切なものを守るために。 緩衝地帯での小競り合いは連邦、帝国、双方に何の影響を与えなかったわけではなかった。帝国では侵攻を脅威と捕らえ、防衛の為の大艦隊が用意された。 一方、連邦では。 侵攻を指示したジブリール理事を笑う人物がロドニアに通信を繋げていた。 『全く・・・ダメダメですね』 片方の眉を上げて、皮肉な笑みを浮かべる。面と向かって叱責しない変わりに、随分と持って回った言い方をする。 『侵入者には逃げられ、侵攻はあえなく失敗とは。使えないものは用済みですよ? 私はね、馬鹿は嫌いなんですよ馬鹿は。種石の力とやら、使えるようになったという話ですから? ちゃんと成果を上げてくださいよ』 通信を背後で聞いているネオは、森の中で戦死した兵達を思い出す。種石の力を取り込む実験台にされ、まだ少年だったのに、一般兵に混じって戦場に借り出されて命を落とした。 「心得ております」 上司が深く頭を下げる姿を見つめる。 ジブリールが命令を下した、国境での実験兵器も失敗に終わったらしいと聞く。この研究所で生み出されたらしい兵器は、発動する前にあっけなく艦ごと沈んだらしい。 『もっとも、これで最終兵器にゴーサインを出しやすくなりましたけれどね』 所詮は捨て駒か・・・。 次は自分か、それとも、あの子達か。 ひどい言葉であの子達を縛る自分を棚に上げて、彼らがこんな戦争で命を落とさなければいいと願う。 『頼みましたよ』 「ハッ」 敬礼をするのに習って、通信が消えるまで手を下ろせなかった。 上司がしかめっ面で振り向いた途端、非常警報が鳴り響いた。 「思ったそばから、これだ」 やるせなさを奥に隠して、ネオは至急部隊を召集するように指示を出した。 戻る 次へ 一つの山場です。さあ、ここからが大変ですよ。
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東方フィルファンタジー交響楽団 サークル:時雨月横丁 Number Track Name Arranger Original Works Original Tune Length 01 全人類の為の緋想天 オル 東方緋想天 有頂天変 [-- --] 02 流し雛の為の円舞曲 オル 東方風神録 厄神様の通り道 [-- --] 03 亡き王女の為のセプテット オル 東方紅魔郷 亡き王女の為のセプテット [-- --] 04 紅楼 オル 東方紅魔郷 紅楼 [-- --] Ex 吹奏楽の為の『風祝』 オル 東方風神録 少女が見た日本の原風景 [-- --] 信仰は儚き人間の為に 詳細 東方project曲オーケストラアレンジCD。 コミックマーケット76(2009/8/15)にて頒布 イベント価格:300円 ショップ価格:なし レビュー 名前 コメント
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※後継作『FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア、蒼天のイシュガルド、紅蓮のリベレーター、漆黒のヴィランズ、暁月のフィナーレ』については該当記事が作成されています。このページでの記述は控えてください。 ファイナルファンタジーXIV 【ふぁいなるふぁんたじーふぉーてぃーん】 ジャンル MMORPG 対応機種 Windows XP/Vista/7 メディア DVD-ROM 1枚 発売・運営・開発元 スクウェア・エニックス 発売・サービス開始日 通常版 2010年9月30日コレクターズエディション 2010年9月22日 定価 通常版 8,190円コレクターズエディション 10,290円+利用料月1,029円(いずれも税込) レーティング CERO B(12才以上対象) 備考 現在はサービスを終了した為プレイ不可能 判定 クソゲー ポイント 「10年に一度級のクソゲー」最悪の企業態度バージョンアップでパソコンがクラッシュ会社が傾き信頼も地の底にテンポがもっさりでUIも最悪映画『ファイナルファンタジー』の再来徐々にだが改善はされていった今となっては完全に過去の話ではある ファイナルファンタジーシリーズ 概要 経緯 基本システム サービス開始当初から存在するシステム 体制変更後に実装されたシステム 問題点 ゲーム自体の問題点 ゲーム内容以前の問題点 評価点 総評 企業問題 その後の顛末 その他余談 新生『ファイナルファンタジーXIV』 概要 ファイナルファンタジーのナンバリング第14作であり、『ファイナルファンタジーXI』以来、2作目のMMORPG。 アートディレクターに吉田明彦氏、音楽に植松伸夫氏を迎えた本作は、『XIII』の路線に疑問を感じ、本格的な『ファイナルファンタジー』の再来を願っていたファンの大きな期待を集めた。 社長直々に「ライバルはWoW(*1)!」と謳い上げるが、実際には看過できない問題点が大量に存在していたため、企業態度の悪さも相まってシリーズのブランドを揺るがしかねない大問題に発展し、ユーザーの期待を大きく裏切ることとなってしまった。 経緯 本作の開発は2005年に始まり、当初は「次世代MMO(仮称)」「ラプチャー」の名称で開発が進められていたが、田中弘道プロデューサーは「名称未定の時点ですでに『XIV』として製作しようと決めていた」と2009年のE3におけるインタビューで語っていた。 同インタビューでは、『XI』の開発/運営経験をもとに作成したまったく新しいMMOとされ、バトル形式も『XI』のような一対多ではなく多対多、パーティ推奨でリアルタイム重視のMMORPGであるとされた。 翌2010年4月からαテストが始まり、その後クローズドβ・オープンβを経て同年9月末日に正式オープンが開始された。 結果は後述の通りの大失敗に終わることとなった。 後継作『ファイナルファンタジーXIV 新生エオルゼア』(略称『新生FF14』または『新生』)は、スタッフ総入れ替えのもと制作が進められ、ほぼ別ゲーとして生まれ変わっている。対応機種はWindows PC、PS3、PS4、PS5。発売日は2013年8月27日。 新生については別稿で説明されているのでそちらを参照。また、新生と区別するため現在こちらのバージョンは『旧FF14』『根性版』と呼ばれている。 基本システム 今作品は田中P・河本Dよる1.0ローンチ当初と、吉田PDが引き継いだ後の根性版と呼ばれた新生と並行して行われた大改修期とでゲームの方向性自体が大きく変わっていったところがあるため、両者を切り分けての解説が必要となってくる。 サービス開始当初から存在するシステム アーマリーシステム 本作の特徴として、主器(後にメインアームと改称)に装備する武器や道具を持ち替えることでクラスチェンジを行うというシステムになっている。例えば剣を持てば剣術士、そのままつるはしや鍛冶ハンマーを持つことでギャザラーやクラフターに切り替えるといった仕組みであり、これは新生以降にも引き継がれている。新生以降のごく一部の派生を除き、基本的に一つのクラスに武器・道具種は一種類となっている。 戦闘職 ファイター(剣術士、斧術士、格闘士、槍術士、弓術士)とソーサラー(幻術士、呪術士)に大分される。旧の時点ではさらにリムサ・ロミンサに未実装職の巴術士ギルドと銃術士ギルドがあり、前者は新生にて実装、後者は蒼天のイシュガルドにてルーツは異なるが、ギルドに関わっていたNPCを顧問とする形で機工士として実装された。 非戦闘職 ギャザラー(採掘師、園芸師、漁師)とクラフター(木工師、鍛冶師、甲冑師、彫金師、革細工師、裁縫師、錬金術師、調理師)に分けられる。採掘師と園芸師はフィールドにある採集ポイントを調べてミニゲームを行い、素材に適したポイントで手応えを得ることで素材が獲得できるというシステム。これは新生でゴールドソーサーの遊具として流用された。 ギルドリーヴ 本作の主軸となるコンテンツとして語られていた都市国家から受注できる小クエスト群。旧時代には都市外で戦闘や採集を行うリージョナルリーヴ、都市内で生産を行うローカルリーヴ、特定のリーヴで得られるクレジットを消費して行える高報酬のファクションリーヴに分かれていた。地球時間12時間毎に4枚補充され、最大99枚までストック可能。 体制変更後に実装されたシステム ジョブシステム 「◯◯士」といったFFらしからぬ漢字のクラスしかなかったのがサービス開始当初から不評で、ナイトや白魔道士といったジョブを実装してほしいとの声を受け大改修期に実装された。槍術士から竜騎士、呪術師から黒魔道士といった具合に特定のクラスを一定のレベルまで上げることで受けられるクエストをクリアして得られるジョブクリスタルを装備することでクラスから派生する形での実装。旧時代はソロ向けのクラス、パーティ向けのジョブといった形で、剣術士なら他クラスの攻撃寄りのアビリティ、ナイトならより防御性能の高い専用アビリティをセットできるといった方向性がとられていた。 インスタンスレイド 新生以降にインスタンスダンジョンと名を変え実装されることになる、パーティ向けのインスタンスコンテンツ。旧時代にはトトラクの千獄、ゼーメル要塞、カッターズクライ、オーラムヴェイルの4種類が実装。レイドという名称から分かる通り、新生以降のインスタンスダンジョンよりはハイエンド寄りのコンテンツとして設計されていた。 討伐戦 新生以降にも定番となる、パーティ用のインスタンス討伐コンテンツ。旧時代にはイフリート(ノーマル、真、極)、ガルーダ(ノーマル、真)、善王モグル・モグ、月下の闘いが実装。本来はタイタン、リヴァイアサンも追加される予定でクライアントにもモデルデータが既に用意されていたが、直前に東日本大震災が発生したことでお蔵入りとなり、急遽作られたのが善王モグル・モグであった。 グランドカンパニー パブリックカンパニーシステムとして考案されていた所属国のシステム。開始都市とは別にリムサ・ロミンサ、グリダニア、ウルダハの三国のいずれかに所属することになり、カンパニーリーヴ等のコンテンツで得られる軍票で装備を得たりするなど新生以降のシステムの基礎が作られていた。グランドカンパニークエストも実装され、事実上の第七霊災編のメインクエストとなっていた。 問題点 ゲーム自体の問題点 推奨スペックに見合わないゲーム実態 シームレスマップを謳っているが、平原なら平原のまま他エリアへ連結するなどの平面接続ができず、他エリアへの接続は狭い峠道を経て行うなんちゃってシームレス。その上重い。 背景オブジェクトなどの複製は一般的な技法ではあるが、本作ではブロック単位でそれを実行したため、とあるサイトでは「一見綺麗なんだけど実は延々とコピペばかりの背景が続くだけの手抜き」と評された。 べらぼうに高い推奨スペックを要求する割にはグラフィックが貧相という代物になった。 現行『XIV』のプロデューサーである吉田氏曰く、『XI』の非常に軽いローポリゴンのマップを使っても負荷が変わらなかったというとんでもない欠陥を抱えていたという(*2)。 MMOによくあるアクションのひとつであるジャンプが無いため、ちょっとした段差や越えられそうな植物や柵を越せず、小石ですら壁として立ちふさがる。移動は『XI』と同様に遅い。 移動魔法・テレポは最初から使えるものの、消費エネルギーであるアニマの回復が遅いため、1日1回の使用が限度。結局プレイヤーは徒歩を選ばざるを得なかった。チョコボその他の移動手段は実装されず。 発売前には「マスクされた遊びきれないほどの膨大なクエストとコンテンツが用意されています」と開発者が語ったが、実態は貧弱そのもの。 「地質から星の運行まで精密に世界を設定している」と豪語された世界も、実際はコピペだらけで無駄に広いだけ、と大きな失望を買った。 そもそも新生以降にはただの経験値稼ぎ用のミニコンテンツと化したギルドリーヴを主軸と語っていたあたり、当時のコンテンツ不足は推して知るべしではある。 ユーザーインターフェース(UI)の悪さ 同時に多数のコマンドウィンドウを開けない。階層を掘り進める構造でありながら、重要なコマンドや頻繁に使うコマンドが深層にあるなどデザインが悪い。 カスタマイズやショートカットもなく、マクロ作成が推奨される。マウス・キーボード操作よりもコントローラー操作を念頭に置いた結果であるらしいが、コントローラーでも辛い。 チャットログウィンドウの分割ができない。『XI』同様、各ログを1つのウィンドウに詰め込む仕様。 UIの動作が全体的に重い。カーソル移動も遅く、マウスの動きに追いついていない。 正式サービス後に若干修正されたが、α・β時代からの問題点の1つであり、その時点では海外のユーザーパッチで対応されていた。 カーソルが遅いのは、カーソルを1項目動かすたびに読み込みをするという極めて非効率な仕様のため。そのせいでレスポンスがどんどん遅くなり、やがてカーソルを1項目スライドするのに数秒~十数秒かかるようになる。PCへの負担も大きい。 この仕様は本作全体に共通しており、何をするにも読み込みが入り、レスポンスが悪い。不正防止か、別に目的があるのかは不明。 アイテムソートは未実装。α時代には存在したが、使用するとアイテム消失などのバグが発生するため機能が取り払われた。 正式サービス後にも戻らず、2010年12月のバージョンアップまでに何とかすると言われていたものの、結局修正されなかった。 メールなどの連絡手段が実装されず。チャットフィルターは『XI』初期以上に不完全。ユーザー検索もフレンドリストだけ。『XI』より大幅に劣化している。サービス開始時はPTメンバーのマップ表示もなかった。 戦闘の問題点 テンポはかなりもっさりしている。長期のプレイが前提のネトゲでテンポが悪いのは大きなマイナス要素。 1日の戦闘回数に制限が課せられる「疲労度システム」が導入されている。「キャラが疲れる」という設定で、疲労状態になると戦闘で修練値(経験値)が得られなくなる。 疲労度は2時間もプレイすれば一杯になり、解消にはリアルで24時間以上かかる。廃プレイ防止策とも考えられるが、とても不評。 なお、クエストにも1日の受注制限がある。成功失敗にかかわらず再受注までリアルで半日かかるという仕様(*3)。 ちなみにクエスト中にサーバー落ちやクライアント落ちがあると失敗判定になる。 戦闘時のバグが多い。 サービス開始時点よりは改善されたが、それでも「敵のHPが急に全回復する」「PC側のターゲットが突然外れて攻撃不能になるが、敵は一方的に攻撃してくる」「敵が消える」「見えない敵から攻撃を受ける」など多数。 戦闘中はゲージに蓄積されたポイントを消費して行動するシステムだが一気にゲージを消費するような攻撃などがなく、ゲージも瞬時に回復するため、単調にボタンを押すだけの作業戦闘になっていた。 剣などの近接武器を持つキャラは、敵に接近しないと攻撃できない。敵側も距離が近ければ近接攻撃をする。 しかし、敵と距離を取ろうとすると、ほとんどの敵が回避不可の遠距離攻撃をしてくる。敵の遠距離攻撃は相当な距離を取らないと避けられず、遠距離攻撃を持つキャラでも「距離を取る」という戦術に意味がない。 『XI』では、敵の近接攻撃は(見た目より範囲は広いものの)距離を取れば当たらず、マラソン戦術や魔法による足止め戦術などが存在した。 『XI』の連携に相当する「バトルレジメン」というシステムがあるが、これが開発者でさえ「我々もちょっとわからない」という代物。開発者が理解できないシステムを何故入れたのか。 ボタン連打しているだけで何とかなるといわれる戦闘バランスであり、工夫をして強敵を倒す喜びが薄い。また、ボタンを押さないと攻撃しないため、戦闘中はチャットによるパーティーメンバーとの意思疎通が難しい。 意思表示アイコンは導入されているものの、使い勝手はよくない。 NM(ノートリアスモンスター。固有の名前を持ち、通常より強い敵)でもないのに飛び抜けてレベルの高い敵が混じっているなど、敵配置がおかしい。 ちなみに『XI』同様戦う相手は動物ばかり。 「ライト層向け」であるはずの開発コンセプトとのギャップ ゲーム開始時にチュートリアルがない。また、世界観やシステム上の固有名詞が頻出するが、それらを事前に説明してくれるヘルプやサポートは存在しない。海外レビューでも「徹底して説明不足、不親切」と評された。 わかり難いと評判の『XIII』ですら、本編では語らずともオートクリップで一応の説明はされていた。 もっともシナリオが進行するにつれ自然に理解できる構成になっているのが普通だが。 UIの仕様上、マクロを作成しないとかなり遊びづらいが、実装されているマクロの紹介や説明はゲーム中にも公式ページにも存在しない。 マクロ作成はいわゆるライトユーザーなどにはハードルが高く、知識のあるプレイヤーでなければガイドでもない限り作成は難しい。 その他の不評点 ゲーム開始直後から世界中を移動できるが、マップが狭く1日で世界を回ってしまう事も可能。RPGとしてはあまりに物足りない。 ちなみに、未開放エリアは「戦争中」であるという設定で立ち入れない。プレイヤーの設定は傭兵だったはずだが…。 クエスト内容は似たような代わり映えしないものばかり。インプオンライン。 装備品はどれもこれもほぼ全て同じ性能。しかも色が違う水増しばかり。 装備品は耐久度制であり、使用回数ではなく時間経過で消耗する。これは下着にも適用されたが、当初は下着を交換できない不具合があった(後日修正された)。 ジョブは好きな時に変更できるが、対応した装備が必要。ジョブチェンジ時に装備品は全て外れる仕様で、スムーズな再装着にはマクロがほぼ必須。 全てのジョブを満遍なく使わせるようにデザインされており、自由なジョブチェンジが可能とはいえ、特定のジョブだけを極めるプレイなどは難しい。 キャラ成長は能力値に対してポイントを割り振る仕様だが、レベルに応じて能力値の上限が決まっている。そのため、特定の能力に特化したキャラ作成が不可能。割り振りさせる意味が薄い。 アイテム合成が面倒。素材がやたらと細分化されており、必要数も多い。また、他職の上位レベル合成素材が低レベルアイテムに必要であるなど、ストレスを感じさせる仕様。 さらに無駄な作業が多く、それらを避けられない。合成レシピは記録できるが上限あり。 競売(オークションハウス)に相当するシステムがない。個人商店であるバザーは存在するが、あまり使いやすいものではない。 当初、開発陣からは「競売は絶対に導入しない」とアナウンスされていたが、プレイヤーズアンケートでは「追加して欲しいコンテンツ」の2番目に「競売所」が挙げられ、導入の検討はされていた。 初期にはバザー街でエリアサーチするとなぜかリテイナー(代理販売NPC)を含む数が表示されたこともあり、人口水増し疑惑がかけられている。 強烈な経済格差 他の問題点の調査に力を入れすぎた為か、効率的な金策を長期間放置していた。そのため、金策を繰り返した一部のユーザーの所持金が天井知らずになり、経済的な問題が出てきた。 更には金銭の回収手段が不完全なまま金策手段自体を削除した為、絶対的な経済格差が生まれてしまった。「ジンバブエのようだ」と表現するユーザーも。 ただし生産職のランク上げに伴う慢性的な供給過剰や、そもそも買うものが無いといった事情により不都合はないともとれた。 防御が「盾備」、目薬が「光明薬」、やまびこ薬が「喧騒薬」、チョコボが「馬鳥」、日本では現在あまり使われない「食指・示指(人差し指の事)」表現等の名称変更。 中国人プレイヤーに合わせたとの説もあるが日本人プレイヤーにとっては意味不明でしかないうえ、中国でも「チョコボは陆行鸟(陸行鳥)じゃないのか」と指摘される有様(陆行鸟をGoogle翻訳にかけてみると判る)。 ちなみに中国語で防御は日本語と同じ表記で[防御 fáng yù]。つまり使われているのはどこの国の言語でもなく本作の造語である。 後に用語が修正されたと思ったら、チョコボでなくチョコポという誤字となっていた。他にもポイスなど同様の誤字もある(後に「ポ聖言語」と呼ばれるように)。これは日本語ローカライズを中国・韓国の会社に外注した際に見られる誤訳の典型例の1つであり、「日本語の不得手な外国人スタッフに任せきった結果」「中国の会社に丸投げした」などの憶測を呼んでいる。 ただし、そもそもこれは誤植ではなく「ルイカ教漢」というフォントを使用したことによる単なる文字潰れだとも言われている(*4)。 無味乾燥なメインクエスト ギャザラーやクラフターも立派な職業の一つという位置付けのために、非戦闘職でもメインクエストを進めることができた。これによりメインクエスト上で強大な敵と戦うといったことが全く無く、交渉というミニゲームで話を進めていくという極めて盛り上がりに欠ける内容となっており、戦闘が必要な場面では相棒と呼ばれるNPCや、救世詩盟(新生以降にも登場するヤ・シュトラ、サンクレッド、イダ、パパリモ)が戦うのをただ眺めるだけで、プレイヤーは徹底して傍観者であることを強いられるといった始末だった。 吉田氏はこの点を重く受け止め、ファイナルファンタジーは世界を救う冒険であってほしいという観点のもとにギャザラー、クラフターはメインジョブではなくなりますと謝罪の文章を添えてまでメインシナリオの改革に注力することになった。 開始都市が初期クラスと紐づけられていなかった 例えば剣術士でリムサ・ロミンサでスタートした場合、ギルドのクラスクエストを受けるためには船に乗って遠くウルダハまで徒歩で向かわなければならなかった。道中の敵配置バランスも劣悪で、高レベルの敵に絡まれると命の危機に晒されるという状況が不興を買うことに。これにより新生以降は初期クラスで開始都市が決まるシステムとなった。 リムサ・ロミンサは未実装のギルドが2つもあり、お膝元の戦闘職が斧術士のみといった惨状でもあった。 ゲーム内容以前の問題点 ファイル数13万、フォルダ数1万以上という異常なクライアント構造(OSより遥かに多いファイル数)。 この為、インストール、アンインストール、プレイにかかるHDD負荷が他のソフトウェアの比ではない。 説明書が不親切。ゲームの操作やシステムに関することがおざなり。 しかし、料金徴収に関しては細かく書かれている。本末転倒である。 ちなみに、月額プレイ料金のほか、1stキャラ以降のキャラ作成には別途料金が必要。これは本作と『XI』を除くMMORPGではあまり見られない課金体系。 なお、1キャラ追加の料金は『XI』の3倍である30日間300円(税込315円〈当時〉)。 サーバーが極めて不安定で、特に発売当初はサーバー落ちが頻発していた。運営開発が「100万人でもOK」と宣伝していたサーバーであった筈が、実態は1,000人超で不安定になり、1500人超でダウンという代物だった。 当初はプレイヤーが任意にスタートサーバーを選択できるシステムだったが、上の問題の影響で、混雑サーバーにキャラ作成制限が掛けられ、推奨(=少人口の)サーバーへの誘導も行われた。 サーバー負荷軽減のため、「フィールド上のモンスター出現数を絞る」「リポップ時間を長くする」という方法も取られた。ツケはプレイヤーに回り、少ないMODの取り合い等が起きた。 バージョンアップ時にパソコンのクラッシュが頻発する点に至っては最早お話にならない。正式サービス後も、バージョンアップ後クライアントが動かないなどの問題がしばしば発生した。 評価点 使い回しが酷いのは確かだが、流石にスクウェア・エニックスだけあってグラフィックそのものは非常に綺麗。 ファミ通等で初めて画像を見たときはシリーズ毎度のことながらその美麗さに驚いた人が多い筈。 『XI』ではウィンドウのサイズだけ解像度で変わるものの配置を含め基本的に固定だったが、本作ではウインドウ周りやパラメーター表記の配置やサイズを好きに変えられる点。ここだけは『XI』より進歩している。 『FFT』『XII』などの吉田明彦氏が担当したイラストは評価が高い。 ララフェル、ミコッテなどキャラクターのモデリングやモーションも評価が高い(一部種族のモーションは賛否両論だが)。ちなみに何故か女性キャラの下着(レース)の描写が妙に細かい。水着姿も妙に好評。 各種族のデザインは『XI』と非常に似ており、『XI』のキャラに愛着があるプレイヤーなら受け入れやすい反面、『XI』と比べて本作の種族を酷評する者もいる。スタッフのインタビューによると「アバターはプレイヤーの分身と考えて種族的な共通点を残した」との事。 音楽がちゃんと付いている。『FF』シリーズとしては久々に植松伸夫氏が作曲を行っている。 特に公式HPではシリーズお馴染みの曲である「オープニング・テーマ」が盛大なアレンジをされて流れる。従来に比べかなりマニアックな作風になっているためか国内では1つ1つに賛否両論あるが、海外ではおおむね「場の雰囲気に合う」と好意的に受け止められている。ゲーム自体の出来が出来だけに「植松氏の経歴に傷をつけた」という意見も多いが。 ラノシアの疾風やザナラーンの黄昏といったフィールド曲は当時から好評であり、新生以降もメインクエストのイベントシーン等で使われるなど現在のプレイヤーにも印象を残している。 佐藤弥詠子氏(FF11でウィンダス関連やプロマシアミッション、後年にはヴァナ・ディールの星唄のシナリオも手掛けていたスタッフ)がローンチ当初からのシナリオ関係のプランナーを務めており、エオルゼアの星暦・霊災による重厚な世界観や超える力等の基本設定は最初から存在、一部は改変されつつも新生以降にも引き継がれ暁月のフィナーレまでの10年に渡る高評価ストーリーの礎となっている。 プロデューサーを引き継いだ吉田直樹氏が改革に着手した後に改善がみられていった。 『新生』以後において「第七霊災」と呼ばれる事件が1年かけて描かれ、ゲームの終了と世界の激動が連動する様子は、一定の評価を得ている。また、「霊災」のメカニズムが明らかになった昨今においては、ある種貴重とも捉えられる考察材料ともなっている。 基幹部分の致命的な不出来による劣悪なテンポで爽快感は乏しいものではあったが、蛮神討伐戦や旧のラスボス戦ともいえる月下の闘いでは新生以降の布石ともなるような派手なギミックを駆使した戦闘が繰り広げられるなど、ローンチ当初には考えられなかったようなバトルコンテンツが末期には実装されていた。 総評 問題山積での正式サービス開始には「α、βのテスターは何をやってたんだ!」との声も挙がっていたが、テスター達はテスト時すでに「このままではヤバい」「発売延期すべき」と声をあげ、テスト公式ページにもスレッドを立て、開発に正式サービスを延期しゲームのシェイプアップとビルドアップを図るべきと求めていた。 また、元来がα・βテストに参加している一部のユーザーの意見しか投稿出来ないという謎仕様であった為、フィードバックのしようがなかった事情もある(*5)。 結果として、テスターが報告したバグや不具合他はほとんど顧みられる事なく正式サービスは強行された。 またクローズトβ、オープンβ時期にはフィードバックそっちのけでデバッグ作業に入っていたという開発側の発言もあったため、結局正式サービス開始日程は最初から決定済みであった事が窺える。結果として、発売前の段階で最低限の水準を求められるレベルに持っていくために細部の手入れを行き届かせるという重要なプロセスがおざなりにされてしまった結果としか言えない内容での船出を余儀なくされてしまった。 大型MMOとはいえ、5年の歳月をかけてなお未完成という状況に終始し、なおかつそのままサービス開始を強行したスクエニのその姿勢は、企業がとるべき態度としてはあまりにも無責任であると言わざるを得ない。 貧弱なインターフェース、コンテンツの薄さなどの問題点も、『XI』の優れた実績を持つスクエニならクリアできていて当たり前と言って過言ではないはずである。 結局、待っていたのは自社の株価を大幅に下げるほどのユーザー離れ、スクエニと『FF』ブランドへの信頼崩壊、安く上げて高い利益を出すはずだった本作を再開発することによる壮大な「安物買いの銭失い」という、目も当てられない顛末であった。 本作は一般PCゲームのためKOTY考察外だっただけであり、冗談抜きで大賞クラス・「 10年に一度のクソゲー 」レベルの代物(*6)である。つまりFFブランド以前の問題である。PS3版も出ていたら大賞も十分狙えただろう。 他の10年級のクソゲーと決定的に違うのはFFシリーズという世界的に人気が高いゲームであったこと。 この作品は、四八ショック以後のKOTYなどで言われていた「ブランド品は質の上下あれど最低ラインは維持している、言わば腐っても鯛であるが故に伝説級のクソゲーにはなりえない」という風潮を完璧に破壊してしまったのである。 企業問題 + クリックで展開 「呪術士が一定の条件下で修練値を大量に得られるバグ」についての対応 公式でバグについての報告が行われるも、内容はバグの全面禁止、および呪術士バグを故意に行っていたユーザーの調査およびアカウント停止処分についてのみ。バグに対する謝罪は一切なく、プレイヤーの不評を買った。 また、バグ利用育成を行ったプレイヤーを知らせるようにという「密告」の推奨まで行う始末。当然だがプレイヤーにそんな義務も義理もない。 そもそもそのバグはβテスト時から報告されていた。にも拘らず、結局、修正はされなかった。 ヒストリー機能について 2010年11月1日のメンテナンスで、スクエニが運営する本作のプレイヤー検索サイトに「ヒストリー機能」(日時付きプレイ履歴などが表示される機能)が実装されたが、「非公開設定不可」という大問題を抱えていた。また、このサイトはアカウント非所持でも閲覧可能である。 当然ログイン履歴を知られたくないプレイヤーの活動を抑制することにつながり、過疎化に拍車を掛ける結果に。さらにスクエニが本作の広告塔として起用した漫画家や芸能人がほとんどログインしていない事実まで明らかになる。 α時代には本当の意味でパソコンクラッシュが発生 元々DirectXを何故かまともに機能させていない仕様だったせいもあるのだが、当時の本作はやたらPCに負荷をかける仕様であり、高スペックなPCでも相当な負担であった。 中にはスペックぎりぎりでのα参加ユーザーも居たのだが、ある時スクエニが本作のフレームレートを何故か突然2倍に上げPCクラッシュが続出。 fpsは後日戻したもののクラッシュしたPCへの補償はされず、この件に関する公式アナウンスもない。 メンテナンスやバージョンアップが日本のゴールデンタイム(19 00~24 00あたり)でも実行される、日本本国を軽視する運営態度に不信感を募らせるユーザーも多い。 『XI』では日本時間0時や2時からといった深夜メンテが普通だった。なお大概のMMOのメンテナンスは平日の昼間が一般的。 結果… 以上のようなお粗末な対応に対し、スクエニ側はまさかの有料ベータ宣言。この前代未聞の事態はすぐさま話題となり、当然ながらこのような発言をしたプロデューサーは左遷され、新プロデューサーである吉田直樹氏の手腕に注目が集まることになる。 当時のアップデートは、「プレイヤーのステータスを下げる」「敵を強くする」「スリップダメージを上げる」「修練値(経験値)を下げる」「必要修練値を急上昇させる」など下方修正ばかりで、プレイヤーの信頼を取り戻すには至らなかったが、評価点にある通り、クソゲーという評価を覆えせはしなかったものの、改善がなされていく。のちに吉田氏は「新生」を完全に立て直すという偉業を成し遂げた。 上記のような悪評からか、ピーク時には6万人いたユーザー数はどんどん減っていってしまった。 しかし、スクエニはこの事を隠蔽するためか、2ch・ネットゲーム実況板のゴールデンタイムにおける本作の総プレイ人口報告で平均25,000人である事が連日確認されていた頃、総ユーザー数を見られなくする処置をした。この措置以前、人口報告はゴールデンタイムはおろか週末でさえプレイヤーが増えない傾向である事がグラフによって視覚化されており、相当な危機感を持った模様である。 …だったのだが、2011年12月16日のバージョンアップで急遽ユーザーサーチ機能が復活した。これに伴い、ネトゲ実況板でのプレイ人口報告スレッドも再稼動したが、その結果、ゴールデンタイムのプレイ人口が12,000人を下回りつつあることが明らかとなった。隠蔽前より半減しており、右肩下がりでの減少は止まらなかった。「新生エオルゼア」の現在の盛況ぶり(*7)を知ってるユーザーから見ればまったく信じられないだろう。 その後の顛末 デスシリーズ コレクターズエディションのおまけ タンブラーが付いてくるのだが、「塩分を含むもの、固形物、炭酸飲料、牛乳、乳飲料、果汁等は入れないで下さい」と書かれている。市販されているプリントタンブラーでもそう書かれている物はあるし、そもそも使用上の注意としては妥当(*8)なものではあるが、流石に限定版でそのような物をつけるのは…。 実際に「コーヒー牛乳を入れたら化学反応が起きて泡をふいた」などの報告まであがる始末。しかも傷があるもの・ロゴが逆になっているもの・何か変な油がついたもの・カビの生えたもの(!?)まであるという有様。カビが生えたタンブラーの写真は有名で、驚いた人もいるだろう。 コレクターズエディション付属タンブラーのあまりの怪物ぶりに、ネット上で「魔獣デスタンブラー」というキャラクターが生みされるに至った。 その後、完全に裏目に出たヒストリー機能は「デスヒストリー」と呼ばれ、回復呪文ケアルのバグに関連した「デスケアル」、バザーイベントのサーバクラッシュ「デスバザー」、何日もログインできない「デスログイン」など、様々な「デスシリーズ」が名付けられた。 サービス開始からしばらくして行われた本作開発者急募の広告は「デスリクルート」と呼ばれた。その内容は「UI開発者募集」から「中国語のできる人材優遇」に始まってグラフィック以外ほとんどの職種を募集するものであった。 また、採用情報には「漠然とした制作意図から自分で設計を進められる人」「きちんとした日本語で文章が書ける方」「常識がきちんと持っている方(※原文ママ)」などの正気を疑われる文面が踊り、スクエニの人材枯渇を露呈する形となった。 しかも雇用形態はあろうことか正社員ではなく「契約社員」。偽装請負にあたる企業専属フリーランスとして雇用されるよりはマシとはいえ、それだけの能力を持っているのであれば既に他のゲーム会社に正社員として雇われているだろうし、有能なのにこんな雇用条件を飲むのはよっぽど社会そのものを知らないお人好ししかいないという意見が専らである。本気で直す気など更々ないと捉えられても仕方ない。 本作発売以降、幾度と無く開発者募集を出してきたスクエニだが、それは発売から1年以上経過しても継続したものであり、次々に新しい職種が募集されている。余程人が集まらなかったのだろうか。また、人材枯渇は社長が(有能な人材を人件費削減を名目に)リストラしすぎたせいという噂もあり、もし真実ならばまさに自業自得の結果だといえる。 PS3版関連 プレイステーション3版は当初2011年3月上旬発売予定であったが、PC版の失敗からかPS3版は社長命令で最初から作り直す事となり、『PS3版旧XIV』は幻となった。 この報告を聞いたソニーの関係者は真っ青になったらしい。開発現場の士気も落ち、その一方では「外部大物クリエイターの招聘を検討した」と噂されるなど、現場は混乱していることが語られた。 「サービスを一旦中止するべきでは?」という声も多かったが、以前『XIII』でPS3版『XIV』β参加券を同封してしまっているので、やめるにやめられない事情があった。 評判など Amazonでも取り扱いが終了し、現在はマーケットプレイスでのみの販売が続いている。一時は3,000円でおつりも来る状況であったが、下記の『新生XIV』の発表を受けてか後にいくらか盛り返した。 年末年始商戦では多くの本数が福袋行きとなった。福袋の中に本作ばかり3本も入っていた例もあるらしい(*9)。 コトブキヤ・ラジオ館ではスクエニオンリーの福袋を5,000円で発売。福袋にもかかわらず真っ黒な袋を使用していることが話題になり、前述のデスシリーズになぞらえデス福袋と呼ばれた。 ツクモ電機での本作推奨ビデオカードの説明POPには「FF14を窓から捨てると近所から不評を買うので止めましょう」という冗談にならない文句が書かれていた。 海外での評価は日本よりも更に辛辣。「植松伸夫の音楽以外褒めるところがない」とも言われ、その年のクソゲーランキングで『XIII』と共にランクイン、二冠達成を成し遂げた。 その音楽が収録されているサントラも何故か2枚組3,000円以内で売れる程度の内容を、1枚ずつ2,000円で販売する有様。 コレクターズエディション版データディスクを叩き割った者・消費者センターに訴えた女性・スクエニ本社に直接足を運んでソフトを返品しに行った男性など、あまりの商品未満の出来に憤慨し多種多様の抗議活動を行った人々も登場している。 ゲーム系サイトで投稿型の批評コーナーのあるところでは、時々変に高得点の批評が投稿され、全体の平均点の底上げをしている動きがみられる。しかも、投稿内容を読むと「VerUPで以前よりましになったので期待がもてる」「今後の成長に期待を込めて」など、ゲーム内容と無関係のものが多い。『新生』の現状を考えると的確ではあるのだが…。 公式に失敗作と認められた本作だが、発売から1年弱経ってファミ通にオススメのゲームとして掲載された。 発売当初に比べるとかなり改善の対策はされているものの、プレイヤー拠点の偏りによる一極集中化やそれによるアイテム関連の流通性の悪さから起因するゲーム内の経済問題など、その時点でも問題は多かった。 2022年4月に、テレビ朝日の番組「しくじり先生」で、スクウェア・エニックスの全面協力のもとで本作が2週連続に渡って取り上げられた。もはや完全に公式でもしくじったと認識されてしまっているのが改めてわかる。 なお、特別講師役(*10)として吉田直樹氏が出演している。「過去の成功体験が大きい≒だから同じ事をしよう(制作スタッフの硬直化)」「グラフィックにこだわるあまり手描きでテクスチャを描いていた。3ヶ月もかけてタンス、4ヶ月もかけて花瓶を作ったスタッフもいた。結果、容量をかなり食ってしまい重すぎてロクに動かない」「容量が重いために1画面30人までしか表示されない」「『とりあえず発売してアップデートしとけばいい』と発売を決行。結果、世界中から酷評の嵐」「強すぎる成功は逆に失敗への恐怖を産む。大きな成功にはとらわれず過去にして次の挑戦をする。でないと新しいものが生まれずボタンの掛け違いすらしてしまう」といったことを語っており、「ゲーム以外の仕事をしている人も心に留めて欲しい」と忠告してもいる。 こういった事もあり、『新生』発足時には「成功よりもまずは失った信頼を取り戻す」ことを重視しており、スクエニ側も重く受け止め開発へ踏み切ったと語っている。曰く「転び方も立て直しも派手」。現在もアップデートの度に反省会を開いており、お客様がいる限り「ひたすら努力が続く」覚悟を持つ事が必要だと語っている。 レギュラー出演者も「二世三世が会社潰すパターン」とぶっちゃけているほか、吉田氏が改めて本作の内容を吟味した結果、一万個以上の問題点が見つかったという。このwikiに書かれている問題点も取り上げられている。 あまりの酷評ぶりがかえって興味を持たれるのか、最近では新規プレイヤーから「旧XIVを遊んでみたい」という意見も出ている事が語られている。吉田氏曰く「僕にとっては悪夢」との事。もっともだ その他余談 スクエニ株が急落した後にようやく異例の社長謝罪。後日日本経済新聞(*11)に改めてスクエニ株急落の記事が載り、原因には『XIV』のせいとはっきり書かれた。 そして株急下降、利益大幅低下という現状に取締役の松田洋祐氏が「消費者の選別眼が厳しくなっており、売れるソフトとそうでないものの差が大きくなっている。消費者に選ばれる品質の作品の投入で巻き返す」と発言した。本作が商品として論外というだけであって、消費者の目が特別肥えていたわけではないのは言うまでもない。 本作発売前のスクエニパーティでは合成担当者が「合成中のチャットはムカつくので喋れなくした」と発言している。つまりそういう人たちが作成したということか。 2013年3月期決算ではスクエニ合併後史上初の赤字決算となり、言うまでもなく、銀行や大株主が激怒。株主総会で大株主と銀行団が当時のスクエニ社長を更迭する案を計画していたが、当時の社長は3月で突然の辞任発表。事実上の引責であり、最後に逃げたと酷評された。 「根性版」という通称は一見ネット上のスラングのようだが、実際は開発側で付けられた俗称。 「新生」への作り替えが決まった後はこの旧『XIV』は近い将来にサービス停止することを意味しており、作り直しである以上本作のソースは引き継げない。よって以降の旧版の改修、アップデートは残り短いサービス期間を終えれば無用の長物になるが、それでも現在のプレイヤーのためにちゃんと開発しよう、という引き締めの意味での名称だったという。 とはいえ、大抵のユーザーがこの名称を聞いて真っ先に連想してしまうことは「プレイヤーによほどの根性がなければプレイ継続できない」という負の意味であり、この名称が広まったことにはそういう意味でも妙にマッチしてしまったことも大きい。 PS3版『XIV』の発売の延期と前プロデューサーを更迭させるきっかけとなった。 後任となった吉田直樹氏は優れた手腕で後継作を立て直し、『FF』シリーズのプレイヤーから広く名を知られることとなった。 そして、シリーズナンバリング最新作『ファイナルファンタジーXVI』では吉田氏がプロデューサーを務めることとなる。 ノベライズ版が出版されている。作者は『ティアリングサーガ』や『XI』のノベライズも担当している「はせがわみやび」氏。 なお、悪評が祟ってのことか旧版のノベライズは1巻だけしか発売されなかった。 2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響により、本作と『XI』のサービスは2週間ほど停止状態となった。 スクエニのアーケードゲーム『LORD of VERMILION II』に参戦した。Re 2からは、オンライン対戦で『XIV』のカードを使うとランダムで本作のBGMが流れる仕様になった。 実はCMも存在していた。俳優の生田斗真氏が鎧衣装を身にまといヒューラン族として実演し、実写と合成の映像となっていた。インタビューでは生田ご本人は『V』からのファンであるようで、『XI』もプレイしていたとのこと。 2012年1月6日より課金開始。 現行版に3ヶ月以上課金すると新生『XIV』の料金が割り引きになるというレガシーキャンペーンが実施された。 このキャンペーンは2022年現在においても有効で、一部のストーリーが変化するといった特典も有している。また、「レガシーマーク」とよばれる印をつけることも可能で、本作からの継続プレイヤーが、新生から始めたプレイヤーに興味を持たれることも多々ある。 本作で散々ネタにされた「馬鳥」だが、後に『新生』にて「伝説の馬鳥」なるFATEが用意されるなど、自虐ネタとして扱われている。 新生『ファイナルファンタジーXIV』 2012年11月11日に現行版のサービスが終了。物語は新生エオルゼアへと引き継がれる。 そちらの評価もサービス開始当初は微妙なものだったが、アップデートを繰り返していく度に改善が進んでいき、追加ディスクも多く発売された現在となっては FFシリーズ最高峰のシナリオと評される など、 本作から完全に評価を逆転させた。 会社を傾かせた元凶が一転して、会社の生命線とも言える状態となったため、ある意味皮肉な状況ではある。
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終末の序曲 霊峰のかなり高い位置にあるというのにマルキオ教の本山の辺りだけは雪が積もっていなかった。それなのに礼拝堂はしんと冷えて、目に見えない空気に閉じ込められたかのようにシンは動けなかった。 うまく息ができない。 ディアッカは何を言っている? 父上が死ん・・・・・・どうして。なぜ。 礼拝堂のある一点を見つめたまま、ただ呆然と立ち尽くした。 真っ先に反応を見せたのはアレックスで、一歩踏み出してフェイス・ディアッカに向き合って問い質す。 「本当か?」 「冗談でこんなことを言うと思うか?」 面識のあるラクスも信じられない思いで言葉を繋ぐ。 記憶にあるかの人の父は皇帝らしく威風堂々とした男だった。誰かに寝首をかかれたり、毒殺される程甘い人物ではないことくらい分かっているつもりだ。直接先頭に立つわけではないとしても、仇敵の頂点に君臨するその人なのだから。 「プラントのパトリック皇帝がお亡くなりに・・・いつ・・・」 フェイス・ディアッカは答えず、いまだ反応のないシンにもう一歩近づいて膝を折って臣下の礼を取る。 「できるだけ火急、且つ速やかに帝都へお連れするよう、兄君より仰せつかっております」 「できるだけ早くだ」 「分かってるさ」 ディアッカにシンを帝都に連れ戻すよう命じたイザークも、知らせを俄かには信じられなかったのだ。この大事な時期にどんな冗談だと、もう少しで使者を張り倒す所だった。 父上が急死しただと? どういうことだ。 今、皇帝を殺害しても何の利も無い。誰にも、帝国内には。連邦が帝国の混乱を狙ったのだとしたら、これは下策も下策だ。あの嫌みったらしい連邦のアズラエルがこのような手段に出るはずがない。 だとしたら敵対しているジブリールか? いや、奴にそんな度胸はない。 まさかレジスタンス・・・・・・バルトフェルト侯が暴挙を許すはずがない。 イザークは帝都への帰路、この死の背景に頭を巡らしていた。 飛行戦艦の中から砂漠の彼方に帝都が見えた時、王宮に翻る弔旗に、イザークは初めて父親の死を実感した。 黒い半旗。 黒いタペストリー。 官吏も宮殿にいる者も議員達も全て礼服を着ていた。緑溢れ花のような王宮が黒一色で埋め尽くされた光景に、イザークは足早に回廊を通り過ぎる。 いるはずの顔が足りない。 老獪で議会を裏で操り、皇帝を意のままに操ろうという輩達の姿が見えないことに、イザークは皇帝の死以外に何かが起こったのだと確信する。 自分の予想通りなら、恐らく・・・。 パレスの大きな扉の前で立ち止まり、微かに指先に力が入っていることに気がついた。 身構えているのだ。 この先に待っている光景を。 あの部屋にもう父はいない。 もう二度とイザークの青い瞳に映ることはないのだ。 そこにいるのは、兄。 何を企んでいる? 扉の向こう、一家の主の部屋でイザークは予想通り、壁に掛けられていた絵画を見ていた兄を見つけた。7つ上の兄、ギルバート・デュランダル・プラント。 「兄上! どういうことですか!?」 「早いな、イザーク。とんできたのか?」 「当たり前です! シンもすぐに」 絵から目を離した兄が机を回りこんで庭を見る。 ゆっくりとした動作にイザークは内心舌打ちした。問い質したい事が山程あるのに、兄ははやるイザークの気勢を削ぐのに長けていた。 「当然だろう。『見聞を広める為にアプリリウス滞在中』と連絡を寄越したのは誰であったかね」 イザークもつられて部屋から見渡せる庭を見る。家出同然で出奔したシンが、空賊に弟子入りしている、などと言うことが公になるわけにはいかない。当然、この大事に帝都にいないことは許されない。 「言いたいことは分かっているよ。元老院どものことだろう」 「・・・はい」 「皇帝暗殺の疑いで元老院議員を全員逮捕した。事実上、元老院は解散だな」 皇帝暗殺の疑いだと?! 奴らがそんな度胸のある事をするものか。 喉まで出掛かって、イザークは拳を握り締めた。急死ではない、明確な他殺。その犯人を巡って帝国は揺らぐだろう、そのリスクを差し引いても兄は犯人を吊し上げた。 なぜだ。 「皇帝1人死んだ所で帝国は揺るぎはせんのだよ」 まさか・・・兄上。 振り向いた兄の瞳が昼の光を差し込んで琥珀色に光る。家族が減った事実を前にして、こうも平然としていられる男をイザークも見つめ返す。真意の読めない兄の心の奥底を覗いてみたいと、このとき初めて思った。 アプリル反乱の兆しと連邦との緊張が高まるこの大事な時期に、なぜ父上は殺された。 他ならない、息子の手に掛かって。 それが帝国の為だと言うのか。 「せめて盛大に送ってやろうではないか」 お前が殺ったのだろう! 皇帝の座を手に入れるために、自らの父でさえ手に掛けるのか。イザークの青い瞳は氷よりもなお冷たい光を宿して、目の前の男に視線を返した。 「そんな事で親孝行できるならよいのですが」 言い捨てて主の変わったばかりの部屋を出ると、侍従長がイザークを待っていた。いつもの服に黒の腕章をつけている。 「殿下、シホがお待ちでございます」 言葉少なくほとんど感情を露にすることもない、この肉付きのよい男はどう思っているのだろう。ふと、そんな事を思ったが、私情を口に出すはずあるまいと、止めかけた足をそのまま踏み出して歩き出す。 「そうか、すぐ行くと伝えてくれ」 「承知いたしました」 旗という旗は黒く半旗となり、帝都は鎮魂に沈んでいた。 と言えば、少し大げさだろうか。 国民には必ずしも優しい皇帝ではなかった。アプリルを始め周辺諸国を併合した武断の皇帝というのが恐らく彼らの印象だろう。だがそれでも、帝国にとっては比類なき皇帝であり、帝国の強さの象徴でもあった。 後継者がなかなか決まらない程君臨していて、歳を取って威光に陰りが見え、ようやく代替わりが行われるかと言う矢先の出来事だった。 イザークは個人的に所有している小型飛空艇を自ら駆って、帝都の空路を急いでいた。銀色に光る白いボディに水色のラインの入った飛空艇は一見、帝都の貴族達が所有しているプライベートリムジンのようでいて、中身は全く違うもの。シホから受け取ったものを手に、建物の間をすり抜ける。 「確かに・・・皇帝が死んでも帝国は止まらない」 悲嘆にくれるけれど、人々は止まらない。 何事もなく帝都には日が昇り、経済活動が動き出す。市場で売買が始まり、建物を覆う緑は花を咲かせる。 「シンが戻ってくるまでか、時間がない」 帝都の中央部から少し外れた高い建物で飛空艇を降り、イザークはとても帝国の王子とは思えない格好をして建物の中に消える。振る舞いや滲み出るオーラが只者じゃないと暴露してしまっていたが。 昇降機を操作しようと手を伸ばした時、突然、所内にサイレンが響き渡った。 緊急性を告げるそれは、明らかに何か良くないことが起こった証でイザークはすばやく辺りを見回した。 そう言えば、警備の者はどうした? 本来なら各階に配置されているはずの警備担当者がいない。どこかの企業、高級住宅ならともかく、ここは帝国でも最高機密を扱う種石の研究所なのだから。シホから手に入れた研究所の極秘キーに何か不首尾でもあったのかと一瞬頭を過ぎったが、ディアッカとは違い彼女は優秀だ。 ミスがあるとは思えない。 だとしたら、自分以外の誰か・・・そう思い当たった所で、バタバタと走る足音が聞こえてきた。近づくにつれ、微かな鎧の音を聞きつけ眉を寄せる。 なぜ、帝国兵が? フェイスまで。 見つからないように咄嗟に物陰に隠れて、その場をやり過ごすと彼らの口走ったことが頭を巡る。 どうやら招かれざる者が俺以外にもいるようだ。 侵入者を探せ、生きて返すなと指示を出していたフェイス。物騒な事だと昇降機に乗り、最上階を目指す。狙いが同じものだとしたら、ぐずぐずするわけにはいかなかった。 シホに渡された2枚の鍵の残りの鍵を取り出して、目的の部屋に入った途端イザークは唖然とした。 先を越された・・・か。 物音を立てないように部屋の中を動こうにも、こう物が散乱していては無理と言うものだ。床やデスクには書類が散乱し、書棚は荒らされ、引き出しという引き出しが開いていた。家捜しでもここまで派手にはやらないのではないか。 その中で、目に付いた書類を拾い上げる。 人工種石の硬度に関するデータ。 人工種石の耐久性に関する考察。 シード最大容量を決定付ける要素。 グラフと表が載っている書類のタイトルにそう記されていた。曲線と細かい数字の載った紙を数枚捲って、散乱したものが山のようになっている机の上に置いた。 「まさか、人工種石とは」 一度は手にした王家の証、黄昏の種石はジョージ・グレン王が大陸の覇業を成し遂げる原動力となった神授の種石の一つだった。当初、イザークが知っているのはそれだけだったのに、ラクス達が王墓へと出向き、第8艦隊が消滅したことでまた別の種石の存在を知らされた。この調子なら覇王が持っていたとされる3つの種石の残りの一つもどこかにあるのだろう。 過去の遺物はただの伝説だと思っていたが、その力を目の当たりにして思うのだ。 世の王が欲しがらないはずがない。 だが、手に入れさえすれば即使えるものではないということも、第8艦隊の件で当たりを付けていた。なんらかの制御が必要なのだ。おそらく通常のシードを含んだ石とは比べ物にならない量のシードを溜めている。魔法を扱うのとは違う、何か別の制御法があって、覇王はそれを知ったから大陸を統一できた。 研究所が開発しているものは、そんな所だろうと考えていたのに。 ここで行われていたのは種石を制御するのではなく、制御できる種石を作り出す事だったのだ。 崩れそうな書類の山を掻き分けてみるが、同じような報告資料ばかり。 イザークはため息をついて部屋を改めて見回す。荒れ果てた光景には、かつての恩師の部屋を髣髴とさせるものは何もなかった。 「狙いは人工種石、それとも・・・」 ドクター・クルーゼなのか。 イザークの中でクルーゼはそのような大それた事をしでかす人物ではなかった。いつも落ち着いていて、やや慇懃と取れるほど冷静に物事を観察する目を持っていた。 現実的だったのだ。 イザークの思いついた歴史に隠された真実に耳を貸してくれることはあっても、覇王の遺産の軍事転用を実行に移すことなど有り得ない。 何かがイザークの知らない所で起こっている。 それは父の死であり、人工種石の研究も、だ。 イザークはそのピースの間を埋める決定的な何かをまだ手にしていない。 ドクター・クルーゼや兄なら、それを持っているというのか。苦虫をかみ締めるように顔を顰めて、拳を握る。 また、あの時と同じだ。 「どこにいる、ドクター・・・」 手に入れなければならない。 それもできるだけ早く、手遅れにならない内に。 倒れたスタンドをおこし、割れた本をいくつか拾って書棚へと仕舞う。自分が立てた音以外が耳に届いてイザークは部屋の入り口を見た。 紙が踏みしめられる音。 「探しているのは、私かな? 殿下」 適当に散乱したものをどけて、デスクの椅子に腰掛ける最重要人物は、相変わらず変な白い仮面で顔の上半分だけを隠して唇の端を上げた。対して、イザークはほとんど本のない書棚に腕を組んで凭れている。 得体の知れなさが増大していた。 兄とは根本的に違う不気味さは目が見えないからだと、まだ学業に従事していた時分は無理やり納得していた。 「さて、ご用件は何かな? このように散らかっていて殿下をお迎えするには心苦しいが」 目の前の男の一挙一同から伝わるのは明らかな壁なのだ。 彼は目の前に帝国の王子が居るというのに、畏怖もなければ動じる所もない。表面上は敬う言葉遣いだが、本当に心からそう思っていれば自然と空気が変わるものだ。 イザークとて無駄に王子として帝都の中枢で生きてきたわけではない。 それくらいの判別はつく。 俺は取るに足らない存在ってことか? だが、自尊心に縛られるわけにはいかなかった。 「人工種石は完成しているのか? そんなものを作って何に使う」 この研究所に侵入した者の狙いもそれだ。 それを知る人物か、現物を探しているに違いない。 「聡明な君が分からないかな?」 「帝国は今でも大き過ぎて、辺境に目が届かず軋みが蓄積している。大陸全土を統一して軋轢を抱え込むのは懸命じゃない」 「よろしい。統治者として合格だ」 「お褒め頂き、ありがとうございます」 小さい頃はこんなやり取りを良くしたものだ。 入れ替わり立ち代り講義をする帝王学講師の1人、授業でともすれば熱くなり理想を追うイザークを嗜めたのも彼だった。 「ではなぜ、種石の力を今になって求めるのです。帝国にとってそれは絶対必要な力ではない」 ドクターは背もたれに凭れていた身体を起こして、デスクに肘を突いて頭を支えた。 少しの沈黙が降りる。 「歴史が繰り返すからだ」 「・・・歴史?」 大陸に現れては消えていった数多くの国家達。現在の2大国家睨み合いは比較的長く続いている方ではないだろうか。歴史が繰り返すならば、このあと訪れるのは小国が乱立する群雄割拠の時代か、巨大な統一国家か。 兄はプラントによる大陸統一を考えているのか? それは有り得ないと即座に否定しつつも、まさかと言う不安がどうしても拭えない。 「始まりは7年前」 何っ! 銀色の髪が広がった。 温めていた書棚からイザークは背を離し、ドクター・クルーゼを見る。 どういう意味だ。 7年前。それは弟を1人失った時。偶然か、それともあの争いに種石が絡んでいた・・・。 イザークは一瞬、頭の中が恐慌状態に陥った。ただの跡目争いではないという情報が追加されただけで、幾つも構成を変えて推測が出来上がっていく。青い瞳は仮面のドクターを映していたけれど、現実には捕らえていない。歴史に埋もれた真実を捉えることに必死になっていたのだが。 くそっ、あと一歩届かない。 「君はもう王宮へと戻ったほうがよいのではないかな」 ドクターの声が、もどかしさに悶えそうになったイザークの意識を現実に引き戻した。 「賊にも逃げられてしまったようだし。殿下からも、もう少し警備を増やしてもらえるよう進言して頂けないかな」 人工種石を狙うのは反帝国レジスタンスか、アプリルか、連邦のスパイか。 どちらにせよ帝国にとって好ましくない相手であり、イザークが否やを唱える理由はなかった。ドクター・クルーゼに飛空艇を泊める所まで付き添われ、研究所を後にする。 「もうすぐイザークがそこへ行くぞ、ギルバート」 クルーゼの独り言は誰にも聞かれることなく、彼は踵を返した。 こんな時でもなければ王宮の聖堂が隅から隅まで磨かれることはない。 3番目の王子が亡くなった時以来で、王宮の聖堂では着々と皇帝パトリックの為の葬儀の準備が進められていた。皇帝の貴色である紫の布で覆われ、香が焚かれ、いつしか王宮全体がその香りで満ちていた。 イザークは纏わり憑く香りに死の匂いを感じて、王宮の自分の宮にとって帰すとそのまま王宮の別の建物へ足を向ける。ずっしりとした木の扉を二つも開けた薄暗い部屋の匂いの方が、たとえかび臭くともイザークには馴染みのあるもの。 明かりをつけると奥が見えないほどの部屋にはぎっしりと書物が詰まっている。 帝国の歴史がそこにある。 帝立の図書館にもかなりの蔵書があるが、ご禁制の記録はここにしかない。 「歴史は繰り返すだと?」 上等だ。 ならば、真実をこの手で掴んでやると、イザークは過去の海へと飛び込んだ。種石の記録、覇王の記録、時間がないからその二つに絞って書物を漁る。こんなに本に埋もれたのは久方ぶりだと軽い感動を覚えていた。 公式記録の次に民間伝承を集めた書物に手をかけた時、王宮の官吏が自分を呼ぶ声が聞こえた。気がつけばかなりの時間が経っていて、長時間姿を晦ます事の失態を悟った。 一瞬、引っ張り出した本を元に戻そうかと考え、自分以外にここに入るものは居ないだろうと推測して蔵書室を出る。途中の頁で開きっぱなしになった革張りの書物がアラバスタの机の上に広げられていた。 しかし、自分が呼ばれている理由が単に行方が分からないからではないことを、イザークは兄のギルバートの口から聞かされた。 アプリリウスの南にアプリル復興艦隊が集結しつつある。 皇帝の死に動揺する帝国の隙を突いてアプリリウスを奪還するのか、先頭に立つのは空中都市の侯爵バルトフェルト。用心深く様子を伺っていた奴が動くなら、勝算ありと踏んでのことなのだろう。 「皇帝崩御の時を狙うとは、人道にもとる!」 「このような時だからこそなのだよ」 分かっている。分かっているが、怒りが収まらない。 冷静になれと強く心の内で念じて、自らのやるべきことを弾き出す。 アプリリウスを統治する執政官としてすべき事。 プラント帝国治世の安定にこの決起が与える影響を。 「例え反乱軍を1人残らず殲滅したとしても、このような反乱を見過ごしたというだけで帝国の負けです」 表情の動かないギルバートも微かに頷いた。 「こんな時ではあるが、鎮めてくれるな」 「分かっております」 「第8艦隊を穴埋めする為に急遽編成を進めていた第13軍がある。急造だが、持って行くといい」 イザークは軽く頭を下げる。 兄やドクターが何を考えていようとも、自らにできることをするしかないと瞳を閉じる。降りかかる火の粉を払わなくてはイザーク自身身動きが取れない。 父の葬儀に出席できないことが心残りだったが、弟の葬儀を思い出して、あんな思いをするのはもう勘弁だと自らを奮い立たせた。 イザークが自分が指揮を取る第3軍と第13軍を伴って帝都を出る日、シンが父の死を知ることとなる。 ディアッカに見上げられて、シンは浅い呼吸を繰り返していた。 どういう事態になっているのか、説明されなくても分かっている。子供子供と甘やかされたシンにだって、ここでシンが取るべき行動は決まっている。 それが分かっていてもなお、ディアッカに返事ができない。 「あっ、でも、俺、まだ」 何もやってない。 あんな野菜のモンスター倒しただけで、他には何も。 だけど、父上が。 でも、空賊としてまだ全然。 「いいからお前は帝都へ戻れ」 肩に手を置かれて、反射的に横に立つ人物を見上げる。 アレックスを見るシンは、泣く寸前をギリギリ耐えてるような顔をしていたに違いない。口にした彼の名が震えた。 「アレックス」 「父親との別れだろう。息子が傍に居ないでどうする」 立ち上がったフェイスの鎧の音が鳴る。 押し出されるように礼拝堂の扉へ数歩進むと、ディアッカが付き従った。自分の足音、鎧の音、どれも小さく耳に届いて足がちゃんと床についているかどうか分からなかった。 どうしてここで後ろを見ようと思ったのだろう。 もうここには戻れないのに。 冒険はこれで終わりなのに、シンは振り返ってしまっていた。 ―――あ 目が合う。アレックスが去る自分をじっと見つめていた。彼のエメラルドの瞳が揺れているように見えて、シンは思わず視線を逸らしてしまった。 「殿下、お急ぎ下さい」 ディアッカに促されて、足早に礼拝堂を出ると霊峰に吹き付ける冷たい風が頬を切る。飛空艦隊がそこに控えているのを見て驚愕した。ここは飛空艇が飛べない山だと聞いていたのに、ディアッカは飛空艇で乗り付けているのだ。 シンを見送りに来た者は誰も居なくて、自分がいかに皆と相容れない存在かを思い知った。マルキオ教の霊峰を見下ろして零れそうになる涙を堪えている時、シンはイザークが帝都を発ったことを知らなかった。 勿論、シンの居なくなった礼拝堂でマルキオ教の教祖がラクスに種石に対抗する切り札の存在を明かしているなど知るはずもなかった。 「覇王の遺産は種石だけではありません」 突然舞い込んだ皇帝崩御の知らせに、ここまで来た目的を一時的に失念していたラクス達は、教祖の声に我に帰る。 「それは・・・一体!?」 繋がった希望の糸にラクスでなくても身を乗り出した。 「覇王は3つの種石と一振りの剣を残したのです。覇王の剣を」 降って沸いた剣の存在に、皆戸惑った。 種石はあの小さな石の中に未曾有のシードを持つ未知の物体であるのに対し、それに対する切り札が剣とは。 「今のあなたにお話するべきか迷いますが、それをどう使うかは殿下がよく考えて下さい。ラクス・クライン殿下、覇王の剣は種石を砕くことができるのです」 戻る 次へ 念願のイザークオンステージです。でも、思ったほど動かせなくて残念、いつかリベンジを。